(30日、第106回全国高校野球選手権愛媛大会決勝 聖カタリナ7―6西条)
「つなぐ」。それが西条の掲げたテーマだ。
5点を追う八回表の攻撃。選手たちの思いがつながり、一挙5安打3得点の猛追劇が生まれた。
八回表、先頭打者は捕手の橘旺誠(おうせい)選手(2年)。四回裏2死二、三塁のピンチでは、「決勝で浮ついて集中し切れていなかった」と後逸し、走者2人の生還を許していた。その直後、三塁手の藤田凌久(りく)選手(3年)に「一回落ち着こう。お前一人じゃないぞ」と励まされた。
「先輩たちのお陰で前を向けた。自分が下を向いてはいけない」。直球に狙いを絞った。初球の内角寄りの直球を振り抜くと、左前に落ちて安打になった。ベンチで笑顔を見せる先輩たちに向け、ガッツポーズをした。
2人目の打者はエース左腕の宇佐美球児投手(2年)。「3年生のクリーンアップにつないだら絶対に打ってくれる」。そう信じ、外角の変化球を打って左前安打にした。
3人目の代打、高木康樹選手(3年)も内角低めの甘い球を引っかけて右前に運んだ。
4人目の藤田雄大選手(2年)も外角の直球を左前にはじき、1点を返した。
右飛を挟んで6人目の藤田凌久選手は、追い込まれた7球目に、河野健介監督が「捨てていい」と話していたフォークに食らいついた。すくい上げて左前安打とし、走者2人を生還させると一塁上で右手を突き上げた。
西条は九回にも犠飛で1点を加え、1点差まで詰め寄ったが、あと一歩及ばなかった。
宇佐美投手は「3年生が『絶対に追いついたる』と言ってくれたので、絶対に抑えるという気持ちで投げたけど、自分の弱さを思い知らされた。あと1勝だったのに、その1勝が遠かった」と涙で声を詰まらせた。(川村貴大)
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