バレー男子 日本 イタリアに敗れ 48年ぶり準決勝進出ならず

キャプテン石川 今大会では調子上がらず

石川祐希選手

「決めきれなかった僕の責任」。

キャプテン、そしてエースとして日本を引っ張ってきた石川祐希選手は試合後、ことばを絞り出すようにそう話しました。

石川選手は今大会、予選リーグから思うように調子が上がらず、第3戦のアメリカ戦では途中控えに回るなどじくじたる思いを抱えていました。

イタリア戦では攻撃をけん引

それでもこの試合はそのうっぷんを晴らすかのように序盤から爆発。第1セットと第2セットは65%という高いアタック決定率でチームの攻撃をけん引しました。

チームは石川選手の活躍で勢いに乗り、2セットを先取すると第3セットも優位に進めて先にマッチポイントを握りました。

決まれば勝利の一打で…

しかし、24対22の場面で石川選手が打ったスパイクが相手のブロックのタッチを取ることができずにアウトとなって1点差に迫られると一気に流れが変わり、逆転を許してこのセットを落としました。

決まっていれば勝利だった一打がミスになったことに石川選手は「コートに打つというよりはブロックタッチをねらったが、これを決めてやろうと思いすぎて力んでしまったと悔やみました。

両チーム最多得点も 大逆転で涙のむ

第4セット、そして最後の第5セットも大事な場面で石川選手のスパイクが決まらず結果的に相手に大逆転での勝利を許してしまいました。

石川選手はこの試合、両チーム最多の32得点を奪いましたが、ここぞの場面での1点を決めきれなかったことで涙をのむことになりました。

“勝負所での1点” チームの課題に

高橋藍選手

勝負所でいかに1点を取るかは、石川選手だけでなくチームに露呈した課題となりました。

中心選手として活躍してきた高橋藍選手も勝敗が決する第5セットでは、スパイクがアウトになったりサーブにミスが出たりして相手に得点を与えてしまいました。

高橋選手は試合後、目に涙を浮かべながら「ほかの国際大会ではできていたことができなかった。オリンピックという特別な舞台で大事な場面で1点を取る難しさを本当に感じた。そういうところで力を出していける強さというのがもっともっと必要だと感じた」と話しました。

多くの選手が海外挑戦 金メダル狙える位置に

東京大会はベスト8で敗退

日本はベスト8に終わった前回の東京大会のあと、その悔しさを胸に数多くの選手が海外リーグに挑戦しました。

2022年4月 日本代表合宿

その中で、高さでは勝てなくても相手のブロックをうまく使って点を取るスキルや、粘り強い守備を一人一人が磨いたことで、日本代表としての力もつき、今大会は、1972年のミュンヘン大会以来、52年ぶりの金メダル獲得を狙える位置で臨みました。

実際、平均身長で大きく勝る相手に対しても臆することなく挑み、圧倒されたという試合はありませんでした。

しかし、予選リーグ第1戦のドイツとの試合や準々決勝のイタリア戦のように、リードを奪いながらここぞの1本を決めきれずに逆転を許すのが今大会の日本の負けパターンになってしまいました。

フィリップ・ブラン監督

東京大会のあとから監督を務め、今大会を最後に退任することが決まっているフィリップ・ブラン監督は「世界の強敵を相手に勝てそうなところまで戦える。そういう力を示すことはできたと思うが、最後のところでミスを出さない相手チームが上回っていた。イタリアはずっと高いレベルで戦ってきたチームだからこそ最後の最後にミスをしない選択肢ができたんだと思う」と、外国勢との経験の差を指摘しました。

そして石川選手も「改善策としてはこういった試合を数多くこなしながら点を取っていくしかない。次に向けて、日本代表の活動や所属クラブの中で個々が経験値を積んでいくしかないと話しました。

メダルへの扉 こじあけられるか

西田有志選手と石川選手

最近まで長らく低迷が続いていた日本のバレーボール男子。メダルへの壁はそう簡単に越えられるものではありませんでした。

それでも石川選手や高橋選手、それに西田有志選手など中心選手はまだ20代で、いずれも海外のトップリーグで活躍できる実力を持っています。

「世界一の選手になる」。

世界最高峰のイタリアリーグで挑戦を続ける石川選手のことばです。

技術面、精神面でそれがなし得たと代表メンバー一人ひとりが言えた時、半世紀以上、こじあけることができていない扉は必ずや開くはずです。

“世界一の選手を目指して” バレーボール 石川祐希

【NHKニュース】パリオリンピック2024

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