パリオリンピック™女子やり投げ日本代表の北口榛花選手。悲願のオリンピック金メダルへ、予選に挑みます。

強さの秘密は「意外な練習法」 やりは投げず砲丸投げや三段跳びのような練習も

上村彩子キャスター:
陸上・女子やり投げの日本代表、北口榛花選手(26)は、世界ランキング1位でもあり、67m38の日本記録保持者でもあります。最近は調子が心配されていましたが、7月に行われた陸上ダイヤモンドリーグで65m21を記録して逆転優勝を飾るなど、調子をどんどん上げてきています。

そんな北口榛花選手のゲキ推しポイントは「意外な練習法」です。2019年の2月、単身で“やり投げ王国”チェコに渡り、シェケラックコーチに指導を受けています。そのシェケラックコーチの練習というのが意外な方法でした。

槍ではなく砲丸を投げたり、物を投げずに三段跳びのような練習をしたりしています。
北口選手は「やり投げは週に2回程度。陸上競技は何でもできるようにと、基本を大事にした練習をする」ということです。

意外な練習は他にも、2021年の東京オリンピックが終わった後に、元競泳日本代表の松田丈志さんに「やり投げのためにバタフライの練習をしたい。教えてほしいです」と連絡をしたそうです。

松田さんによりますと、バタフライは体の使う筋肉や部位がやり投げと共通しているのではないかということです。

実際にどのような練習をしたのでしょうか。

元競泳日本代表の松田さんがバタフライを指導 バタフライとやり投げの共通点は?

元競泳日本代表 松田さん:
よくあることだと思います。まずやり投げで言えば体の片側だけで投げますから、やり投げばかりやっていると、体がアンバランスになってくることもあると思います。そのために違う種目をやったり、筋力トレーニングをやったりすることはありますが、全く違う種目をやることで自分の専門種目で酷使した体をリカバリーさせる意味合いもあります。

僕が想像するに、北口選手にとって水泳のトレーニングは陸上で酷使した体をリカバリーする、そして北口選手の持ち味である柔軟性を保つというところに繋がっているのかなと想像しています。

7日に予選が行われますから、しっかり予選を通過して決勝で素晴らしい投てきを見せてほしいと思っています。

井上キャスター:
ここまで来ると、松田さんも一緒に戦っている感じでしょうね。

元競泳日本代表 松田さん:
それが北口選手のすごいところで、やっぱりオリンピックで結果を出すためには自分が頑張ることと、それにプラスして、いかに周りの力を自分の力に変えられるか。これがポイントになります。

北口選手が直接僕に連絡してくれたことで、僕も北口選手の応援者になっていますし、拠点がチェコですからチェコの人たちも北口選手のことを応援しています。たくさんの日本の皆さんの応援とともに、力にして頑張ってほしいなと思っています。

フォームは“男子世界一”に変更 「柔軟性と体格が揃わないと出来ないもの」

上村キャスター:
そして、強さの秘密はフォームの変更にもありました。

2018年の北口選手のフォームは槍を構えてから高さを変えず、まっすぐ後ろに引いてから投げる動作に入っています。女子では一般的な投げ方です。

一方、7月の北口選手は構えてから走り出した後、槍を下の方に大きく下げていました。こうすることで肩の可動域が広がり、より深く体をひねって投げることができます。

2018年と今年7月のフォームを比べると、今のフォームの方が体をひねって体全体を大きく使えているのがわかります。これが強さの秘訣だと言います。

女子やり投げで前日本記録保持者の海老原有希さんによりますと、「男子の世界記録保持者と同じフォームで北口選手は投げている」と。しかし、「柔軟性と体格が揃わないと出来ないもので、ここまで槍を下げられるのは北口選手ぐらい」と話していました。やりたくてもなかなかできないフォームだということです。

北口選手が出場する女子やり投げは7日夜に予選、そして11日に決勝が行われます。

井上キャスター:
東京オリンピックで苦手と言われていた助走も格段にレベルアップしています。
北口さんの場合は投てきに注目したいのはもちろんですけれども、投てきと投てきの間のリラックスした笑顔やカステラを食べている様子とか、競技時間全体を魅了するアスリートですね。

ホランキャスター:
コーチも今回ハイチュウを食べるのかどうかなども気になります。

「こうなりたい」「こういう自分・理想に近づきたい」というふうにイメージしたのを体で再現できるという再現性も、やっぱり高い身体能力と努力の賜物なんだろうなと思います。

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<プロフィール>
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父

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