日下「やったぜ!」

日下選手は「夢を見ているようだ。最高に楽しい6分間だった。マットに上がったら誰も助けてくれないので、自分と、過去の自分がやってきたすべてを信じて、自分自身を奮い立たせて前に出続けた。オリンピックへの憧れが強くてレスリングを続けてきたので、憧れの場所で優勝できて、まだ現実か分からない」と興奮気味に話していました。

最後には「やったぜ」と力強く叫んでいました。

「凡人」が「超人」に 愚直に重ねた努力

「自分は才能がない『凡人』。パリで優勝して『超人』になりたい」

日下選手が常々、口にしてきたことばです。

3歳から地元・香川県でレスリングを始めた日下選手。
なかなか目立った成績は残せませんでしたが「才能は努力で超えられる」という指導を受けて、高校、大学に進んでからも練習への真摯(しんし)な姿勢は失わず、ストイックにみずからを鍛えてきました。

ようやく花開いたのがパリオリンピックへ向けた代表争いでした。

東京大会で同じ階級で銅メダルを獲得した大学の先輩でもある屋比久翔平選手を破ったあと、選考会を兼ねた世界選手権で好成績を収め、初めてのオリンピック出場をつかんだのです。

強さの礎とになっているのが相撲です。

小中学生のときはレスリングと平行して取り組んできました。しこやすり足で培った強じんな足腰を生かして前に出る自分のスタイルを確立していったのです。
パリオリンピックに向けては練習拠点の母校・日体大で練習に励むかたわら、相撲部屋に通って大関・琴櫻や優勝経験のある阿炎など、大相撲の実力者たちの胸を借りて前に出る圧力を磨いてきました。

ことしのアジア選手権や国際大会での優勝にもつなげ、世界ランキングは今や1位。パリオリンピックは第1シードで臨みました。

そして今大会でも決勝まで進んだ日下選手。
みずからを「凡人」と呼び続けた23歳が、愚直に重ねた努力の成果を示し、金メダルをつかみました。

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