8人で演技するチームはテクニカルルーティンとフリールーティン、今大会から加わったアクロバティックルーティンの3つの演技の合計点で競います。

フリールーティンを終えて4位の日本は、今大会から加わったジャンプやリフトなどの動作を組み込んだアクロバティックルーティンで巻き返しを図り、前日に急きょ演技の難度を上げて臨みました。

日本は「アリゲーター」をテーマに冒頭から高さのあるリフト技を成功させ、連続した足技や8人の息の合った隊形などでもワニの動きを表現したほか、苦しい最後の場面でもリフト技を成功させました。

しかし上位のチームが高難度の技で得点を伸ばす中、日本は252.7533と7番目の得点にとどまりました。

この結果テクニカルルーティンとフリールーティンとの合計が880.6841で5位となり、2大会ぶりのメダル獲得はなりませんでした。

金メダルは3つの演技すべてでトップで合計996.1389の中国でした。チームとデュエットとも6大会連続でロシア勢が金メダルを独占してきましたが、ロシア勢が出場していない今大会、初めての金メダルを獲得しました。

銀メダルはアメリカ、銅メダルはスペインでした。

安永「自分たちができる いちばんの演技」

安永真白選手は今大会から加わったアクロバティックルーティンについて「練習では7つすべてのアクロバティックを成功させることができず少し不安だったが、朝から調子がよくて自信を持って試合に挑むことができた」と話していました。

フリールーティンを終えて、4位からの巻き返しを図り急きょ演技の難度を上げたと明かし「ギリギリのせめぎ合いをして試合に臨んだが、もっと練習を突き詰めたらよかったという反省もある。最後自分たちができるいちばんの演技をこの場でできたことがよかった」と振り返りました。

中島HC「最大限の力を発揮してくれた」

中島貴子ヘッドコーチは「本当に1日1日全力で挑んだ結果だった。選手は最大限の力を発揮してくれて、自分たちのできることはやれたと思う」と振り返りました。

去年の大幅なルール変更について「新ルールになってからはどのように点数を稼げるか毎日考えて過ごしてきた。上位のアメリカやスペインは私たちの知らない部分を取り入れてチャレンジした分だけ差をつけられているので、本当に悔しい。デュエットの2人はまだ泳ぐチャンスがあるので、頭を切り替えて最高の演技で結果につなげていきたい」と話していました。

ルールの大幅変更 世界で戦うための挑戦

2大会ぶりのメダル獲得を目指したアーティスティックスイミングの「チーム」は、フリールーティンでのミスが響いたことに加え、アクロバティックルーティンではパワーで勝る海外勢に技のできばえなどで差をつけられ「悔しい思いでいっぱい」と5位で3日間の演技を終えました。

去年アーティスティックスイミングはルールの大幅な変更が行われ、フィギュアスケートのように1つ1つの技に難易度が設定されて、その技のできばえで採点されるようになりました。
1つでも技が認定されないと大きな減点となり、技の難度を上げつつ正確性は落とさないという絶妙なバランスが求められることになりました。

新たなルールではほかのチームの技の難度や構成を分析したうえでそれを上回る得点を出すための戦略をどう立てるのかが重要になります。
東京オリンピック後に就任した中島貴子ヘッドコーチは年齢の上下を問わず選手間で意見を言い合える環境づくりを進め、大会ごとに手探りで構成を変えていきながら演技の質を高めてきました。

今大会、1種目目のテクニカルルーティンでは3位につけましたが、2種目目のフリールーティンで序盤で繰り出したリフトの技が認められない「ベースマーク」となって大幅に減点されて6番目の得点となり、合計で4位に後退しました。

最後のアクロバティックルーティンはパワーがカギを握り日本代表が課題としてきた種目。前日夜、選手たちはこれまで重視してきた話し合いを行って、高得点を狙うため急きょ難度を上げることを決めました。

そして「すべての技を成功させて、気迫のこもった演技をする」と臨んだ最後の演技。
難度を上げたのは3つ目の技で、木島萌香選手を持ち上げた後で半回転加えて難度を高めたバランス技を決めるなど、すべての技を成功させました。

しかし表現力や芸術性などが採点される「アーティスティックインプレッション」や技のできばえで得点を伸ばしきれず、この種目は7番目の得点で、合計では金メダルの中国から100点以上離された5位に終わりました。

演技を終えた安永真白選手は「これまでよりさらに高い難度に挑戦して、試合で成功させることができてそこは自分たちの自信になった。直前まで難易度を上げたり下げたり、ぎりぎりのせめぎ合いをして試行錯誤してきた。練習で突き詰めて、完璧なものにしてここに来られたら、という反省もあるが、自分たちができるいちばんの演技をこの場でできた」と振り返りました。

中島コーチも「選手は最大限の力を発揮し、できることはやれたと思う」とたたえたうえで「順位を上げられなかったこと、メダル獲得に及ばなかったことは悔しい思いでいっぱいだ。総合的に強いチームを作っていかないといけない」と世界で戦うためのさらなる挑戦を誓いました。

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