パリオリンピック™で8日から始まったウエイトリフティング競技。女子49キロ級の鈴木梨羅(25、ALSOK)が8位に入賞し、9日は、男子のエース、73キロ級・宮本昌典(27、東京国際大学職員)が悲願のメダル獲得へ試技に臨んだ。
その約10時間前、この競技で日本勢唯一の金メダリストであり宮本の恩師でもある三宅義信監督(84)は愛弟子の必勝祈願の為、東京・青梅市にある御岳山にいた。
パリ五輪の前にも宮本と共にこの御岳山にある武蔵御嶽神社で必勝祈願を行ったという三宅さんは、再びこの場所を訪れ、そのまま宿で観戦。午前2時30分になると愛弟子の2度目のオリンピック挑戦を見守った。
3年前の東京五輪の時も同じ場所で愛弟子の健闘を見届けた三宅監督は、当時、宮本の様子を見て「表情が固い」と不安を口にしていた。結果は7位に終わったが「いい経験になっただろう」と語っていた。
今大会も、宮本の表情が映ると「あまりいい表情に見えない」と不安気だった。最初のスナッチの重量に対しては「もう少し上から言った方がいいと言ったのにな」。それでも、1本目、2本目を成功させると、三宅監督は少し笑顔をみせた。
ところが、宮本は3本目の155キロを失敗。続くクリーン&ジャークでは最初の1本目で187キロに挑戦したが、これもまさかの失敗。三宅監督は「これは厳しい」と頭を抱えた。
2本目も同じ187キロに挑み、成功させたが、その後表彰台を目指して挑んだ193キロに失敗。前回よりも一つ順位をあげたものの、6位。メダルに届かず、三宅監督は「このままでは終われないな。次のロサンゼルス五輪までやるしかないか」と悔しがった。
その後、テレビ電話で愛弟子と直接言葉を交わした三宅監督。「これで終わったら男が廃るんじゃないか?」と笑顔で問うと、宮本も「ロサンゼルス五輪でメダルを獲ったらいい花が飾れるんじゃないかと思います」と応えた。「力はある。あとはメンタルだけ。よく頑張ったよ。人生に悔いはないと思うよ」と労った三宅監督に「悔いはあります」と言った宮本。三宅監督は「悔いがありますか。その言葉はいい言葉だね。あとは気を付けて帰ってらっしゃい」と成長した愛弟子に目を細めた。
ウエイトリフティングの日本勢は、男子102キロ超級の村上英士朗が11日(午前3時30分~)初の五輪に挑む。日本勢の男子がメダルを獲得すれば砂岡良治さん(1984年ロサンゼルス五輪銅、現在日本ウエイトリフティング協会会長)以来、40年ぶりの快挙となる。
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