エースの真価 問われた決勝
予選で1600メートルリレーの日本記録を更新し、20年ぶりの決勝進出を果たした日本。2年前の世界選手権で4位に入ってから、目標としてきた「パリオリンピックでのメダル獲得」を果たせるかどうかは、男子400メートルの日本記録を持つ29歳のエース、佐藤拳太郎選手の走りがカギを握っていました。
予選のレースのあと、駆け寄る仲間の前で首をすこし横に振った佐藤拳太郎選手はインタビューで「きょうのタイムは前を走った3人のおかげで出せた。自分は抜かれてはいけないところで抜かれてしまったので、決勝はしっかりと仕事がをしたい」と反省を口にしました。リレーメンバーのうち個人種目の400メートルに出場した、佐藤拳太郎選手と中島佑気ジョセフ選手、それに佐藤風雅選手の3人は、いずれも準決勝に進めませんでした。その後、今大会から設けられた敗者復活ラウンドを3人とも欠場し、1600メートルリレーに専念する決断をしました。
勝負をかけた予選のレースでは、1走の中島選手が好スタートを切り、川端魁人選手と3走の佐藤風雅選手がうまくつないで2番手でアンカーにつなぎました。しかし、アンカーの佐藤拳太郎選手が、2つ順位を落とし、4着でのフィニッシュとなりました。
3年前の東京オリンピック出場後に引退を考えていた佐藤拳太郎選手。それでも「自問自答を繰り返し、まだ100%自分の走りに向き合えていないと思った」と競技を続けることを決め、大学院に通って自らの走りを科学的に分析して見直してきました。
そして、前半を抑えて後半に伸びる走りを磨き、去年の世界選手権の男子400メートルでは32年ぶりに日本記録を更新しました。400メートルでは佐藤風雅選手も44秒台のタイムを持ち、中島選手もあとわずかで44秒台というところに迫っている今の日本は「過去最強」とも言われています。
佐藤拳太郎選手は「ここまで歩みを止めずにきてメダル獲得がようやく現実味を帯びてきたので必ず取りたい」と決意を示し、決勝のレースに臨みました。
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