高校野球で使われる金属バット。
この春から規定が変わり、反発力を抑えた新たなバットが導入され、県内では約1300本ものバットが公式戦で使用できなくなりました。役目を終えたバットに新たな命を吹き込みリサイクルさせるプロジェクトが始まっています。



夏のシード権をかけた熱戦が繰り広げられた県高校野球春季大会から、金属バットが “新基準” になりました。那覇商業高校野球部の練習でも、握るのは新基準のバット。これをいかにものにするかが勝利のカギになる。キャプテンの田崎さんも、そう痛感した選手の1人です。

那覇商業高校野球キャプテン 田崎和さん
「打球を捉えたと思っても、外野に捕られたりとか。内野の間を抜けなかったりとか。ヒットが少なくなったと自分では感じています」

新基準のバットは、最大直径が従来のものより3ミリ縮小。また金属部分を3ミリから4ミリ以上に厚くさせたことで低反発に。打球による事故の防止のほか、芯を捉えないと飛距離が出ないため、バッティング技術の向上が期待されています。新バット攻略。それは一方で、思い入れのあったバットとの決別でもありました。

那覇商業高校野球キャプテン 田崎和さん
「やっぱ大事な大会とかでチャンスが回ってきたときに、このバットで外野の頭を越えたり、助けられた部分もあったので、このまま廃棄はちょっと寂しいと正直思います」


県高野連に加盟する66校からは、約1300本の廃棄バットが出る見込みです。
このバットに、もう一度命を吹き込むプロジェクトが動き出しています。バットが生まれ変わるのは、花瓶やペン立てです。

購入者「こういうのもいいね」
販売する学生「ありがとうございます」

プロジェクトの仕掛け人は、沖縄県高野連の屋良淳会長です。

沖縄県高野連 屋良淳会長
「思い出を残す形で何か、物作りが工夫できないかなというところで。(記念ボールの)台座として使えるなとか。そういう思いつきからどんどん発想が広がった」

屋良会長の会心のアイデアを形にしたのは、モノづくりの授業があり、高速カッターなどを備えている、嘉手納高校や南部工業高校。さらにバットに生ける植物は南部農林・中部農林高校が提供しました。



購入者「これに代えていいですか。なんか花がついているから!」
花瓶などは1個1000円で販売され、売上は新バットの購入などにあてられます。付加価値を付けてのリサイクル。こうした取り組みはSDGsの目標につながっています。花瓶やペン立てに生まれ変わった金属バット。最大の魅力がー。

売店 「使い込んだ感じがいいでしょ?」
購入者「これいいなぁと思って。古いからいいなと」
購入者「なんか使った感があるところがいいなと。子どもたちが使った感じ」



沖縄県高野連 屋良淳会長
「メーカーのマークもはっきりしている方が喜ばれるのかなと思ったら。意外にそうでもなくて。みなさまは使い込んだ感じとか喜んでいただけています」



刻まれた傷や、色あせたメーカーロゴが、購入者の心をつかんでいるといいます。

那覇商業高校野球キャプテン 田崎和さん
「やっぱり傷ひとつひとつ、それぞれの選手の思い出があるので。自分はとても嬉しいです」

使い込まれてきた背景を想像するのも楽しいリサイクル。

非常に好評だそうで、11日の県高校野球春季大会で、RBCのスポーツ取材班が販売所を訪ねたところ、商品はすでに完売していました。沖縄初のこの試み、全国に広がっていくかもしれません。

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