第106回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高野連主催)で60年ぶりに初戦を突破し、15日の2回戦で岡山学芸館と対戦する掛川西の宮崎凌月(りつき)選手(3年)は甲子園で、2016年の熊本地震後に離ればなれになった少年野球時代の仲間と8年ぶりに再会を果たした。憧れの舞台が野球を続けてきた球児2人を引きあわせた。
再会したのは中京大中京(愛知)の仲健太郎選手(3年)。宮崎選手は小学3年の時、浜松市から家族と熊本県南阿蘇村に引っ越し、地元の少年野球チームで仲選手に出会った。20人ほどの小さなチームで、2人を含めて同学年は5人ほどだったという。
熊本地震が起きたのは小学4年の時。熊本県内では最大震度7の揺れに見舞われ、村では住宅の全半壊が相次ぎ、多くの死傷者が出た。宮崎選手は「危なかった。めっちゃ揺れた」と振り返る。
その後、家族と浜松に戻って以来、仲選手と会う機会はなかったが、節目にインスタやLINEで連絡を取り合うように。甲子園出場を決めた地方大会の決勝でお互いが活躍した時には、「ナイスバッティング」と伝えた。
6日の開会式リハーサル終了後に見つけ、声をかけた。「変わっていなくて、すぐわかった。熊本から離れちゃったんですけど、会えて良かった」と宮崎選手。抽選会の結果、互いに1、2回戦を勝ち上がると3回戦で対戦する組み合わせだけに「対戦したいね」と語り合った。
静岡大会の決勝では八回2死二塁、代打で勝利へ流れを大きく引き寄せる6点目の適時打を放った宮崎選手。まさに「代打の切り札」の働きだったが、甲子園の初戦では代打で三振に倒れた。一方、仲選手は初戦で三遊間に適時打を放った。「負けられない。次こそ」。13日の練習でも一心にバットを振っていた。
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掛川西の選手は13日、兵庫県西宮市内のグラウンドで午前11時から2時間ほど、守備の投内連係や打撃などの練習に汗を流した。
10日の初戦の開始時刻が午後4時52分で、試合途中からナイター照明が点灯したのに対し、次戦は第2試合(午前10時35分開始予定)となった。
大石卓哉監督は取材に「もう一度、暑さ対策をして臨む」と語り、選手たちはきびきびとした動きを見せていた。12日の練習はオフで、複数の選手が甲子園で試合観戦をしたという。(斉藤智子)
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