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今年1月に引退を表明した社会人野球・トヨタ自動車の佐竹功年(かつとし)投手(40)。トヨタ自動車は全国制覇を8度達成していますが、佐竹投手はすべてに関わっています。“ミスター社会人野球”の最後の都市対抗野球に挑む姿を追いました。

■数々のタイトル獲得も「プロはない」

古田さん
「社会人人生もいよいよ最後を迎えちゃうんですけども、どうですか?引退を言われたときの気持ちって言いますか」 佐竹投手
「二つ返事で『分かりました』という感じで。『自分の進退をお前が決めろ』と言われたこともあったんですけど、同期とか先輩後輩が辞めていくのを18年間見てきて、もうちょっと野球やりたかったって思いながら辞めていくのを見ている中で、自分からもう良いですって言うのはすごく抵抗があったので、いざ言われた時に二つ返事だったのかなというのはあります」

社会人野球の名門・トヨタ自動車。都市対抗優勝2回、日本選手権優勝6回、その歴史は「佐竹功年の歴史」と言っても過言ではありません。

入社からトヨタの全国制覇すべてを経験。個人でも2016年の都市対抗MVPをはじめ、最多勝利・最優秀防御率など数々のタイトルを獲得しました。

古田さん
「チャンスがあればプロでもできたのにな、なんて思いますけど」 佐竹投手
「もちろん小さい頃から夢ではあったんですけど、古田さんみたいに活躍できるっていう自信が自分自身にあったら、プロ行きますって大手を振って言えたんですけど、プロで活躍できるとは思わないです」 古田さん
「タイミングがあるので。プロの場合はね。結論からいうとできましたよ」

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■トヨタを名門に「個人的な賞は興味ない」

■トヨタを名門に「個人的な賞は興味ない」

会社員として仕事をしながら19年間、第一線で投げ続けた佐竹を一流のプロも認めます。

トヨタOBの西武・源田壮亮選手(31)はこのように話します。

源田選手
「全部を支配しているような投球というか、相手も一歩引いているなというのは見ていて分かりましたし、すごく尊敬しています」

早稲田大学野球部の先輩・ソフトバンクの和田毅投手(43)は…。

和田投手
「社会人と言うのは僕のイメージでは30代前半、遅くとも中盤くらいには自ら引退したり会社から戦力外と言われる。(40歳まで現役は)プロ野球で言うと50歳以上の価値がある」 佐竹投手
「野球でトヨタ自動車に採用されているので、まずはその野球で、社員に会社に貢献するというのがまず僕の仕事。自分が橋戸賞(MVP)を取ったとかはどうでもよくて、トヨタがどんどん名門になっていくために、名門にしたいっていう思いはあったので、個人的な賞に関しては興味がなかったかなと思います」

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■社会人野球をもっと広げるために…

■社会人野球をもっと広げるために…

19年間現役を続けられたのは、トヨタを名門にしたい。その一心でした。

現役最後の都市対抗、沖縄電力との1回戦。真っ赤に染まるスタンドには佐竹投手の地元、香川・小豆島などから応援団も駆け付けました。

両チーム、スコアボードに「0」を並べる投手戦、9回、トヨタは2アウト3塁1塁のピンチ。この場面で佐竹投手がマウンドへ。

佐竹投手
「たくさん応援の方も来てくれているんで、思いを持って1球1球投げることに集中してマウンドに上がりました」

その初球は、衰えを感じさせない145キロ。3ボール1ストライクとなり5球目、フォアボールを許します。

2アウト満塁、負ければ引退の絶体絶命。ファーストゴロに抑え、ガッツポーズ!ピンチをしのぎ流れを呼び込みます。すると直後の9回裏、打線が奮起しサヨナラで初戦を突破。

勝ち投手を手にした佐竹投手は、これが現役最後の登板となりました。

佐竹投手
「今までたくさんの方に応援頂いたんで、今日もたくさん来てくれましたし、本当に感謝の気持ちしかないなと思っています。個人的な思いは全くなく、チームが勝つために今までやって来たのでそこはブレなかったです」

チーム、そしてファンのために腕を振り続けた19年の現役生活でした。

古田さん
「ミスター社会人(野球)と言われても十分!胸張ってミスター社会人ですと言っても良いと思います」 佐竹投手
「言わないです、自分からは(笑)サラリーマンなんで自分がやりたいことをやれる世界ではないというのは重々承知しているんですけど、社会人野球をもっともっと認知を上げるために自分ができることを色々やっていこうかと。YouTube『フルタの方程式』もよく見させてもらっています(笑)」 古田さん
「ありがとうございます。もしよかったら出てもらって。いつでもお待ちしております!」

(8月25日放送「サンデーLIVE!!」より)

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