セ・リーグ首位の広島カープは、先週末、マツダスタジアムに3位・阪神を迎えての3連戦でした。

8月23日(金)広島 vs. 阪神(マツダスタジアム)

初戦の先発は、2試合連続で完投勝利中の 玉村昇悟 でした。しかし、4回までに2点先行され、5回には2アウト・2塁のピンチで4番・佐藤輝明 を迎えます。この日、佐藤に2本目のタイムリーを許した玉村は、6回を投げ、3失点。ゲームを作るも「不甲斐ない投球だった。優勝争いの中で次に向けてしっかり準備したい」と語りました。

玉村昇悟 6回 球数103 被安打7 奪三振4 失点3

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「状態自体はよくなかったと思います。ただ6回、3失点でゲームをまとめたことはプラスにとらえて次に向かってほしいと思います」

カープの反撃は7回、先頭の 小園海斗 。ピッチャーのグローブに当たりながらの内野安打。このヒットがプロ6年目で節目の500安打目となりました。

続く4番・末包昇大 。コンパクトな右打ちでこの日、初の連打が飛び出します。

さらに相手のミスがからみ、ノーアウト・満塁の大チャンスを作ると、バッターは 菊池涼介 。レフトへ大きな当たりでしたが、あとひと伸び足りず…。しかし、犠牲フライとなり、1点を返します。

天谷宗一郎 さん
「角度的には(スタンドに)行ったかなと思ったんですけど。ただ、いい1点になりました」

そのまま2点差で迎えた9回ウラ、2アウト、この土俵際でもあきらめない新井カープ。阪神・守護神の 岩崎優 から 坂倉将吾 ・菊池 が連打で3塁・2塁と同点・逆転のチャンスを作ります。

打席には前日22日(木)の巨人戦で決勝タイムリーの 矢野雅哉 。打球はレフトフライ。惜しくもあと1本が出なかったカープ。カード初戦を落としました。(広島 1-3 阪神)

8月24日(土)広島 vs. 阪神(マツダスタジアム)

2戦目、カープの先発は、防御率リーグトップの 大瀬良大地 。ここ2試合は5失点以上と粘りきれないゲームが続いていましたが、この日は決め球のカットボールに今シーズン、使ってこなかったチェンジアップも織り交ぜながら順調な立ち上がりを見せます。

その後、2アウト・3塁・2塁となり、バッターは4番・末包。打球は、右中間を破るタイムリーツーベースヒット。「金曜日の試合で右方向にヒットを打てたのがいい成功例になった」と、4番の一打で2点を先制します。

天谷宗一郎 さん
「本当にそのとおり。しっかりと方向性を決めて、この1本を打ってくれました。ナイスバッティングでした」

援護をもらった大瀬良は、阪神打線を5回までわずか2安打に抑えますが、前回登板で5失点を喫した “鬼門” のイニングの6回、ワンアウトから連続フォアボールでピンチを背負います。

悪夢がよぎる中、大瀬良は2番・中野拓夢 を空振り三振に切って取ります。

続く打席は、この試合、大瀬良から2打数2安打の 森下翔太 。ここで新井監督は投手交代を決断。森浦大輔 へとスイッチします。“右バッターキラー” の森浦ですが、この日、3本目のヒットを許し、1点差に迫られます。

それでも2か月以上、自責点のない森浦。続く4番・佐藤輝明を打ち取り、リードを守ります。

天谷宗一郎 さん
「ナイス継投だと思いますし、大瀬良投手は初回からフルスロットルで行って、途中でバテは来ましたけども、背中でチームを引っ張ってくれたすばらしいピッチングでした」

こうなれば、7回以降もカープ自慢のリリーフ陣が登場。7回は 島内颯太郎 、8回はハーン。いずれもピンチを背負いながらも無失点で切り抜けます。

9回は、守護神・栗林良吏 が、きっちり三者凡退で打ち取り、試合終了。(広島 2-1 阪神)

1点差ゲームをものにした新井監督も「大きな一勝だった」と語る勝利で、8月は連敗なし。先発・大瀬良は、6月22日以来の5勝目を挙げました。

8月25日(日)広島 vs. 阪神(マツダスタジアム)

広島カープ 秋山翔吾 選手
「(招待日が)久しぶりの晴れで試合をお見せできるので、ぜひ夏休みの最後に楽しい思い出を作って帰ってほしいなと思います。親御さんの方々は本当に夏休み、お疲れさまでした。最後、声を出し切って夏休みを締めくくってもらいたいなと思います」

カード勝ち越しをかけた3戦目。阪神の先発は、“鯉キラー” の 大竹耕太郎 。ただ前回対戦で初めて土をつけたカープ打線は、1回、1アウトから2番・野間峻祥 、3番・小園と連打でチャンスを作ります。

5番・坂倉将吾 が歩き、2アウト・満塁で6番・菊池。打球は三遊間を破り、レフト前ヒット。カープが2点を先制します。

天谷宗一郎 さん
「さすがの勝負強さですよね。若い選手らが作ったチャンスをベテランがしっかりと還してくれました」

先発は、9日の今シーズン初登板で阪神相手に勝利している3年目の 森翔平 。2回まで無失点で、3回もテンポよく、2アウト。この当たりで三者凡退と思われましたが、ファーストの坂倉が送球を捕れず、内野安打に…。

さらに「このバッターで切りたかった」とくやんだ中野にヒットを許すと、3番・森下に痛恨の逆転スリーランホームランを浴びてしまいます。

打線も2回以降、大竹を攻略しきれず7対2となり、苦しい展開のカープですが、守備で流れを変えます。

7回、2アウト・2塁・1塁のピンチでキャッチャー・石原貴規 がすばやく2塁へ。自慢の強肩で2塁ランナーを刺します。

直後のラッキーセブンの攻撃。先頭は矢野。痛烈な当たりがファーストへ。ヘッドスライディングはセーフ。記録は相手のエラーでしたが、執念を見せ、出塁します。

そして、守備で強肩を見せた石原は、追い込まれながらもヒットでつなぎます。2塁・1塁のチャンスで代打は、堂林翔太 。フルカウントからの6球目でした。センター前にはじき返し、選手会長のバットで1点を返します。

天谷宗一郎 さん
「コンパクトに振ってくれました。勝負どころで堂林選手が活躍してくれることによって選手層の幅が広がったと思います」

その後、野間の内野ゴロで3点差として得点圏打率3割を超える小園。150キロを打ち返し、しぶとくセンター前に。これで2点差。

天谷宗一郎 さん
「執念ですね。ナイスバッティングです」

なおも一発出れば同点…。打席には前の試合のヒーロー、4番・末包でしたが、打球は内野ゴロ。追いつくことはできませんでした。新井監督は「最後まであきらめない、いい攻撃ができた。来週につながる」と前を向いていました。(8カードぶりの負け越し 広島 5-7 阪神)

  ◇  ◇  ◇

青山高治 キャスター
阪神に負け越しはしましたけど、2位・巨人、3位・阪神との対戦だった先週、3勝3敗ということになっています。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
プラス、この優勝争いをしている中で若い選手たちがしっかりと自分のプレーをしている。もちろん、結果が出ない選手は、ここで得たものって、すごくかけがえのないものだと思うんです。新井監督が言う「戦いながら成長している」っていう選手がたくさんいることを感じます。

青山高治 キャスター
また、ベテラン、秋山選手や菊池選手が “背中を見せています” 。

天谷宗一郎 さん
そうですね。若い選手・中堅・ベテランと、チームがいい形でかみ合っているなっていうふうに思いますし、チーム自慢の投手陣も本当に安定しているなっていうふうに思います。

田村友里 キャスター
負けた試合もかなりしっかりチャンスを最後まで作っているなっていう印象でした。

天谷宗一郎 さん
このままズルズルとかではなくて、最後の最後まであきらめない姿勢を見せてくれていますし、新井監督も「今週につながる」って言っているのも、まさに本当にそういった3連戦だったと思います。

青山高治 キャスター
巨人との首位攻防もあったので、“もう、ヤマ場” みたいな感じの先週でしたけど、新井監督の中では “まだ先” なんですね。

天谷宗一郎 さん
まだ先です。どこでギアを上げてくるのか、ちょっと楽しみです。

青山高治 キャスター
順位を見てみましょう。

田村友里 キャスター
1位ですね。「M」が待ち遠しい…、いつ着くか。

青山高治 キャスター
これがまた、ちょっとややこしいんですけど。でも実際、選手たちはそんなにマジックは気にならない?

天谷宗一郎 さん
そうですね。そんなに気にして戦っている選手は少ないと思います。少ないというか、ほとんどいないと思います。

青山高治 キャスター
ファンの方が先に心のマジックがね…

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