9月2日、MBSの番組に出演した阪神タイガースの前監督・矢野燿大さんが、8月31日と9月1日に行われた巨人戦を振り返るとともに、今後の試合のキーマン2人を挙げました。

“不思議の勝ち”を生かしてほしかったが…

 ―――8月最後の試合は4対2で阪神が巨人に勝利。この試合、先発の才木浩人投手が11勝目を挙げ、打っては佐藤輝明選手が3ランホームランを放ちました。矢野さんとしては『今後、いい流れが来そうな勝ち方』だったということですね?

 「才木は自分でも言っていましたが、何点取られるんかなっていうような内容で、あんまり良くなかったんです。でも何とか2点で止まったんですよ。ジャイアンツの攻め方というか、うまくいかなかったというのもあるんですけど、よく2点で収まったなっていうところから、テルのホームランで一気に流れが変わったじゃないですか。戸郷(翔征)くんの調子はめちゃくちゃ良かったんですよ。誰が見ても(阪神は)勝てそうにないな、このままいかれるんじゃないかなっていうところで、この流れが変わった。野村(克也)さんが昔、『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』と言いましたが、今回は“不思議の勝ち”だったんですよ。めっちゃラッキーな感じだった。これを僕は生かしてほしいなと思って、流れが来たかなっていうところだったんですけど…」

 ―――9月1日の試合は、7回降雨コールド、1対3で巨人に敗れました。この負けは痛かったと?。

 「消したいです。勝っていたらめちゃくちゃ流れが変わっていたんですよ。巨人や広島に対してすごく嫌な勝ちになっていたんです。この負けはただの1敗じゃないような、ちょっと重い1敗になっちゃったなっていう感じですね」

 ―――残りの試合が少なくなってきているだけに、1試合1試合が大切になってきますね。

 「そうですね。(1日に先発した)西勇輝も頑張っていたのでね、やっぱり打線が点を取れれば勝てるチャンスはあったんですけどね」

阪神は首位・広島と5.5ゲーム差の3位

 ―――そんな中、15試合連続ヒット中で、8月の月間打率が3割9分と絶好調なのが近本光司選手です。MBSの取材に近本選手は好調の理由の1つとして、8月は人工芝の球場が多いことを挙げていました。土と人工芝では何が違うのでしょうか?

 「土の方が打球は遅くなるので、打球が走ってくれる人工芝で近本は楽に打席に立てているということだと思います」

 ―――また、リーグ戦終盤に向かうにあたり、個人成績などの数字を意識してしまうそうです。振りににいく怖さを恐れないために、“数字にとらわれない”ということも大事だと近本選手は話していました。やはり選手は数字を意識してしまうものですか?

 「選手も僕らも普段、数字にとらわれまくっているんで。そればっかりになるので、あえて考えないようにするっていうことは結構大事なことなんじゃないかな。今に集中するっていうのは、今できることなので。成長したなって思いましたね」

 ―――9月2日時点で、阪神は首位・広島と5.5ゲーム差の3位。2位の巨人とは5ゲーム差です。残り試合は阪神より広島の方が6試合多いです。ただ、阪神は残り22試合中13試合が甲子園球場で、この点は阪神にプラスですよね?

 「やっぱりホームで、ファンの皆さんの声援の中でやれるっていうのは圧倒的有利ですよね」

 ―――9月の“逆襲”のキーマンに、矢野さんは原口文仁選手と糸原健斗選手を挙げました。

 「スタメンに出る、試合に出る選手が頑張るというのはもちろんなんですけど、1人ではちょっとなかなか勢いがつけられないかなっていうような状況があると思うんですよ。誰の声が一番届くのかな、選手自身が受け止めるのかなってなれば、この2人の言葉がめちゃくちゃ受け止められると思うんですよ。“俺らはもっと頑張らなあかん”っていうことがたぶん届くと思うので、この2人が僕はキーマンかなと」

 ―――そして、最後まで諦めない姿をファンに見せることこそが、プロだと?

 「そうですね、今やれることをしっかりやってもらいたいですね。(優勝の可能性は)もちろんありますよ」

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