中学3年生の時に交通事故で右足を失った前川選手は、高校進学後に陸上競技を始め、初出場のリオデジャネイロパラリンピックで4位に入りました。

それから3大会連続でパラリンピックに出場しています。

前川選手が大切にしているのは、義足を個性に変えて、自分らしく生きることです。

前川楓 選手
「心の底から義足がかっこいいと思っているので、義足を見せて生きるという生き方もあるよというのを伝えたい。義足を知ってほしいというのが一番の思い

このため、義足の女性たちによるファッションショーに参加したほか、自身の経験を元に絵本作家として義足の主人公を描いた絵本をこれまで2冊出版しています。

競技のときも、大会ごとに髪色を変えたり、カラフルな義足を取り入れたりして「すべてを楽しむ」

この姿勢が前川選手の成長を後押ししています。

「陸上人生で一番楽しく、結果も結びついてきている」

(左)コーチ務める山本篤さん

今こそメダル獲得のチャンスだと、コーチを務めるパラ陸上のレジェンド、山本篤さんとスピードの強化に取り組んできました。

これまでに比べ、ストライドを大きくしたフォームに変えたことで助走のスピードが上がり、より力強い踏み切りが実現しました。

ことしの世界選手権 銀メダルの兎澤朋美選手(左)と

ことしの世界選手権では、走り幅跳びで自己ベストを更新する4メートル66センチをマークし、銅メダルを獲得したうえ、磨いてきたスピードを生かし、100メートルでも銅メダルを獲得しました。

そして「すべてを出し切ったと思えるパフォーマンスがしたい」と臨んだパリ大会。

目の際に引いたアイラインは、フランスをイメージした青と赤と白のトリコロールカラー。

そして髪色は、パラリンピックのシンボル「スリーアギトス」の赤と青と緑にするなど、見た目にもこだわりました。

前川選手は、早くも1回目で磨いてきた助走を生かした力強い跳躍を見せて、4メートル50センチをマークします。

しかし、その後は「攻めたい」という気持ちが空回りしてファウルが続き、記録が伸びません。

そして最後の6回目。

ここで初めて観客に手拍子を求めます。

「全力で楽しもう。パラリンピックを楽しむには観客といったいにならねば」という前川選手らしい思いからでした。

記録は4メートル8センチとメダル獲得はなりませんでしたが、前川選手は、全力で観客を楽しませ、大会を終えました。

前川楓 選手
「私のジャンプでみんなが喜んでくれていたらすごくうれしい。ここでメダルをとれる選手にやっぱりなりたい」

【詳しくはこちら】女子走り幅跳び 兎澤朋美5位 前川楓6位

【NHKニュース】パリパラリンピック2024

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