アクションスポーツの国際大会「Xゲームズ」が、9月20~22日の3日間、千葉市幕張メッセで行われ、スケートボードやBMXのパリ五輪メダリストらが観客を沸かせた。スケートボード、BMX、モトクロスの計11種目で、日本勢は11個のメダルを獲得した。

4つの決勝が行われた大会2日目の21日(土)。決勝に進んだ8人中6人が日本選手だったスケートボード女子ストリート決勝では、伊藤美優(17)が2位、赤間凛音(15)が3位に入った。予選2位通過だった伊藤は、「流れが良く、一つ一つの技の完成度が高く滑れた」と決勝を振り返った。今月ローマで行われた世界選手権でも3位に入り、国際大会2大会連続で表彰台に上がった。

優勝はオーストラリアのクロエ・コベル(14)。優勝のポイントを「着地」と話したクロエは、12段の階段をキックフリップで降りるなど、数々の大技を決め唯一の90点台(93.33)で圧巻の優勝を飾った。パリ五輪金メダルの吉沢恋(15)は惜しくも4位。22日が誕生日だった吉沢は、「今日が14歳最後の日。ここで優勝したかったができなかったので、今日のようなことがないように一日一日を大切にして、いろんな大会で優勝してレベルアップした姿を見せられたら」と語った。

20分間で技を競い合う男子ストリートの「ベストトリック」では、23歳の池慧野巨(いけ・けやき)が初優勝で日本勢金メダル第1号。「これに乗れば1位2位は行けると思った」と、大技「ノーリービッグスピンヒールフリップバックテールスライド」を決めきった。

パリ五輪で2大会連続の金メダルを獲得した堀米雄斗(25)とは普段から練習をする仲。ベストトリックだけなら堀米に勝てるか、という問いには「ワンチャン、なくはないかな。いつかXゲームズのベストトリックコンテストで戦いたい」と控えめに笑顔を見せた。

BMXのパークでは、パリ五輪5位の中村輪夢(22)が登場。まだ世界で誰もやったことがなく、自身も初めて出したという大技「フレアダブルバースピンtoターンダウン」を決め、Xゲームズでは2019年以来の銀メダルを獲得した。

最終日の22日(日)も日本勢が躍動。男子スケートボード・バートの「ベストトリック」で、芝田モト(29)が2位、猪又湊哉(14)が3位に入った。猪又は前日のバートでも2位に入り、2種目でメダル獲得。最上部が垂直となるハーフパイプ状の巨大構造物を往復しながら技を競うこの種目は五輪競技には採用されていないものの、スケートボード種目では一番の高さを誇る。パークやストリートを見ているファンも会場内のモニターを見て歓声を上げるほど、技の派手さに多くのファンが魅了された。

スケートボード男子ストリートでは、日本勢が表彰台を独占。優勝はパリ五輪4位の白井空良(22)。2位は去年の世界選手権銀メダリスト、根附海龍(ねつけ・かいり、14)。3位にはパリ五輪代表で去年のXゲームズ千葉大会覇者、小野寺吟雲(14)が入った。3本のランのうち最も得点の高い1本を採用するこの種目では、1本目で92点をマークした白井がトップを走る展開に。根附が3本目で93点を出し逆転したが、それでもその後、白井が普段はベストトリックで出す大技「ビッグスピンアウト」をランに組み込み、94.66と再逆転、見事Xゲームズ初優勝を決めた。

「決めたら勝てると分かっているが、いつも気持ちの弱さに負けてしまっていた」と話す白井だが、この日はその「気持ちの弱さ」に打ち勝ち、「五輪前の自分の努力のおかげ」と自らを称えた。

強風により21日から22日に開催がずれたフリースタイルモトクロスの「Moto X ベストトリック」では、この大会で3回の優勝を誇る日本のレジェンド東野貴行(39)が3位に入り、2013年大会以来11年ぶりの表彰台に立った。

また、スケートボード女子パークでは、パリ五輪金メダリストのアリサ・トルー(14、オーストラリア)が優勝、去年からXゲームズに参戦し、はやくも通算5個目の金メダルを獲得した。

母が岐阜県の生まれで日本にもルーツを持つ若きスケーターは、「日本が大好きだし、第二の故郷で勝てたのは素晴らしいこと」とはにかんだ。

東京五輪金メダリストの四十住さくら(22)は代名詞とも言える「540」を果敢に狙うも成功とはならず、表彰台を逃した。大会を通して親交のあるスカイ・ブラウン(16、イギリス)らと最後まで楽しむ姿を見せていたが、「悔しい貯金をいっぱいして、嬉しい涙を流せるように頑張ります」と、悔しさも覗かせた。

そして、今大会新たに歴史を塗り替えたのが、BMXのギャレット・レイノルズ(34、アメリカ)。これまでXゲームズの歴代最多金メダルは15個で、スケートボードのナイジャ・ヒューストン、スノーボードのショーン・ホワイトと並んでいたが、22日のBMXストリートで自身16個目となるXゲームズの金メダルを獲得し、歴代最多金メダル数を更新した。

試合後のインタビューでは、「期待に応えられてほっとしている」と安堵。強さの秘訣に関しては「走ることで平常心が保てて、バイクはまるでセラピスト。愛するものだしなくてはならないものだ」と独特の表現で答えた。今回の期間でラーメン2回、寿司を3回楽しんだというレジェンドは、「この競技を始めたいと思っている皆さん、いつ始めても遅くはないです。いつでも可能性は転がっています」と日本のファンへエールを送った。

*写真は、左から根附海龍選手、白井空良選手、小野寺吟雲選手

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