(29日、全日本柔道選手権)

 大会最年長33歳の羽賀龍之介(旭化成)は、持てる力を出し切った。

 佐藤和哉(日本製鉄)との3回戦。20キロ重い相手に対して、得意の左内股を何度も仕掛けた。しかし有効な技の数で及ばず、旗判定は1―2。「判定は割れたけど、負けた試合だと思います」。潔く結果を受け入れた。

 強化選手を辞退して、この大会一本に絞って調整してきた。4年ぶりの王者には届かなかったが、互いの持ち味を出し合う好勝負で館内を盛り上げた。

 「守りに入って自分らしくない柔道、戦術的に勝負だけにこだわった柔道をしたくなかった。残っている力を全部、振り絞る気持ちで戦いました」

 今後の競技人生については明言しなかったが、「1年かけて準備してきたので、戦いが終わったというホッとした気持ちは正直あります」と涙をぬぐった。

 ここ5年で全日本優勝1回、準優勝2回。「後輩たちに意地でも負けないんだ、と。何年も自分を鼓舞して踏ん張ってきた。年を重ねるごとに苦しくなることも増えたけど、色々なことも経験できた」。リオデジャネイロ五輪100キロ級の銅メダリストは、競技生活の晩年で確かな足跡を残した。(野村周平)

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