サッカー日本代表は15日、2026年に米国、カナダ、メキシコで共催されるワールドカップ(W杯)のアジア最終予選で、インドネシア代表と首都ジャカルタで対戦する。同国でサッカーは国民的スポーツ。熱狂的なファンも多く、競技場で起きた暴動で多数の死者が出た過去もある。観戦に訪れる日本人に対し、日本大使館も注意を促している。

 11日にあった日本の現地での初練習。約80人のインドネシアメディアが押しかけ、注目度の高さをうかがわせた。

 長友佑都(FC東京)は「(現地に着いた時から)10台ぐらいのテレビカメラやファンが集まっている。なかなかない」。長く欧州でプレーし、日本代表として世界各地を転戦してきた38歳も驚きを口にした。

 インドネシアは、オランダ領東インド時代の1938年にW杯出場。それ以来、2回目の本大会に近づいていることもあり、さらに熱を帯びている。同国サッカー協会によると、日本戦のチケットは完売。スタジアム周辺には7万人近いサポーターが集うとみられる。

 「日本のように安全なスタジアムではない、ということは頭に入れた方がいい」。現地で国際交流やスポーツマネジメント会社を経営する斎藤竜太さん(48)は、そう警鐘を鳴らす。

 斎藤さんは9月にジャカルタであった同じW杯アジア最終予選のインドネシア―オーストラリアを観戦。スタジアム周辺では発炎筒がたかれ、異様な光景が広がっていた。相手ファンへの投石や暴言などもあったという。

 「(日本側の)サポーター席に座るまで青いユニホームを着ない、競技場外では旗を振ったり、太鼓をたたいたりするのはやめたほうがいい」

 インドネシアではサッカーを巡って惨事が起きている。2022年、東ジャワ州マランで行われたプロリーグの試合後に暴動が発生。事態の収拾を図った警察の催涙弾で混乱が生じ、130人超が死亡した。

 以降、国内でのリーグ戦では警備が強化されてきたという。インドネシア協会のエリック・トヒル会長は取材に対し、「主催者側の適切な運営で、良質でプロフェッショナルな試合ができるようにしたい。日本のみなさん、私たちを恐れないでください」と安全をアピールする。

 ただ、10月に対戦したバーレーン代表がインドネシアサポーターから殺害予告を受けたとして会場変更を求めるなど、トラブルも起きている。在インドネシア日本大使館は「一部の熱狂的なサポーター等によるトラブルに巻き込まれないよう、外出や公共交通機関での移動の際には十分ご注意ください」と呼びかけている。(ジャカルタ=照屋健、半田尚子)

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