脳性まひの選手による「CPサッカー」の男子ワールドカップ(W杯)が11月9日から22日までスペインで開催された。広島市出身の日本代表DF三浦良介さん(25)にとっては3度目の大舞台。高校1年生の時に送った一通のメールが、世界への道を切りひらいた。
生まれつき右半身にまひがある三浦さんは小学校6年間、兄と一緒に剣道をやっていた。中学入学時にサッカーへ転向。2010年に南アフリカで行われたW杯を映像で見て、オランダ代表のロッベンに憧れたのがきっかけだった。部活で健常者の仲間たちと同じようにグラウンドを駆け回るのは楽しかった。
広島観音高でもサッカー部に入った。全国から選手が集まる強豪校。練習で力の差を痛感し落ち込んでいた時、7人制で行うCPサッカーの存在をパラリンピックで知った。「自分が活躍できる場所がある」。ホームページで協会の連絡先を調べ、メールを送った。CPをやりたいという希望に加えて、「日本代表を目指しています」と書き記した。
しばらく経って、協会からメールが返ってきた。日本代表の選考会に参加してみないかという誘いだった。母親からは「詐欺じゃないの?」と怪しまれたが、実際に行われた選考会では部活でもまれてきた経験が生きた。代表に選出され、16年にデンマークであった世界選手権予選に参加し、翌年はアルゼンチンでの世界選手権(現W杯)に出場した。「夢がかなった」。19年W杯にも出場。高校のサッカー部の仲間からは「すごいな」と驚かれた。
広島大学を経て、22年、キリンビールに入社。長年サッカー日本代表を支援してきた同社で営業チームを支援する業務に取り組みながら、時間を作って練習を続ける日々だ。
23年からCPでも、日本代表と同じデザインのユニホームを使えるようになり、今回のW杯で初めて着用した。胸にはキリンのロゴ。「サッカー日本代表と同じカテゴリーなんだというプライドを感じたし、自分の会社の名前をつけてプレーできて誇らしかった」
大会は5敗1分けで最下位の15位。チームは得点力不足が浮き彫りになった。「1対1の守備は通じた。もっと得点に絡める選手になりたい」。今後も働きながら競技と向き合い、CPサッカーの認知度を高めていくのが目標だ。
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