27日に開幕する全国高校ラグビー(第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会)に向けて名門、石川県代表の日本航空石川が並々ならぬ想いで臨む。1月1日能登半島地震で輪島市にある校舎は大きな被害を受けた。活動が難しい中、“ラグビー仲間たち”が手を差し伸べてくれ、20大会連続の花園(開催場所となる東大阪市花園ラグビー場の“花園”が大会を称する表現)出場を果たした。
特別な想い“輪島のために”
過去最高成績は8強、初の4強進出を目指す日本航空石川。キャプテンを務める上野魁心(うえの・かいしん、3年)選手は特別な想いを語る。
上野魁心選手:
すごくお世話になった地域が被災したという事もあって、自分たちの全国優勝というずっと掲げてきた目標以上に輪島のために、という気持ちが入っている。
練習する事が出来ない
元日に石川県を襲った能登半島地震。輪島市にある校舎は大きな被害を受けた。
上野選手:
寮の様子だったり、学校の校舎を見て、ガラスが割れてたり壁が剥がれていたりで驚いた。ラグビー部員達で集まって、練習する事が出来なくて、(2月に)北信越大会もあったので、そこまで間に合うかがすごく不安でした。
届いた救いの手 拡がる支援の輪
全国大会出場も危ぶまれる中、上野選手はキャプテンとしてチームを前に進める事をあきらめなかった。震災からおよそ1カ月後、救いの手が届く。約20年に渡って、毎年、合同合宿を行い、花園でも対戦のある盟友、愛知県の中部大春日丘高校が活動場所として岐阜県にある中部大学のグラウンド利用に尽力してくれたのだ。
その後も支援の輪はつながる。5月からは輪島市からおよそ300キロ離れた東京都青梅市にある明星大学に拠点を移した。
紙谷直樹監督:
学校の理事長が明星大学出身でその関係でコンタクトを取っていただいて、この素晴らしいキャンパスをお借り出来た。
チームに育まれる絆
現在は、仮設の寮も完成した。当初は設備が整っておらず、苦労もあった。
上野選手:
来た時は大きい教室の中でブルーシートを引いて、全員で寝るという生活をしていました。
慣れ親しんだ場所から遠く離れても、仲間との距離は近づいた。
上野選手:
最初は不安だったんですが、そこで出来たコミュニケーションだったり、今年のチームは雰囲気がいいチームだと思います。
“as one”(ひとつになって)に込められた想い
チームの絆が深まり、同じ方向を向く選手達はスローガンに特別な想いも込める。
上野選手:
“as one”というスローガンを掲げていて、青梅市だったり、輪島市だったり、石川県内の人達も全員で一緒になって戦おうっていう意味が込められてます。1月1日に震災が起きて、そこから1年かけて、自分達が成長してきたことを証明したい。自分たちがラグビーを楽しむ事が最高の恩返しだと思うので、しっかりラグビーを楽しんでいきたいと思います。
“as one”今こそ、ひとつになって彼らは花園に臨む。来年は明るい1月1日に。
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