(11日、プロ野球 埼玉西武ライオンズ2―1東北楽天ゴールデンイーグルス)

 西武ドラフト1位、武内夏暉(国学院大)にはデビュー前、不安があった。

 「自分には絶対的な変化球がない」

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 2種類のツーシーム、カーブ、チェンジアップ、スライダー、フォーク、カットボール。多彩な変化球を操る一方、どれも必ず空振りを奪えるほどの自信がなかった。

 「オープン戦ですでに(問題は)起きていた」とルーキーの心の内を見抜いたのが捕手の炭谷銀仁朗だ。

 西武をふりだしに巨人、楽天へ渡り、今季6年ぶりに古巣に復帰したプロ19年目。菅野智之(巨人)、菊池雄星(ブルージェイズ)ら、多くのエースたちと組んできた36歳は、22歳の課題を認識しつつ、「ボールゾーンに投げにいくのは違う」と考えた。

 そして伝えた。

 「あんまり気にしなくていい。こっちで三振を取れるように組み立てるから」

 武内が投げる試合は、開幕から全試合でマスクをかぶる。

 この日は二回以降、毎回走者を出したが粘った。「やることは時と場合で変えている。詳しくは言えない」と炭谷。変化球をストライクゾーンに散らしつつ、六回に1点を失った直後は、速球を続けて空振り三振で切り抜けた。

 「全部が決め球になる」と炭谷が言えば、「投げていくうちにつかめてきたものがある」と武内。

 無傷の3連勝。お立ち台で左腕が声援を浴びていたそのとき、陰の立役者はベンチ裏を足早に引きあげていった。(平田瑛美)

 武内(西) 7回1失点で、デビューから負けなしの3勝目。「連敗を止める気持ちでマウンドに上がったし、毎試合絶対勝つという思いで投げている」

 村田(西) 皇学館大からドラフト6位入団の新人。プロ初打席の初球を初安打に。「変化球が来たらごめんなさいくらいの気持ちでいきました」

 蛭間(西) 五回に適時二塁打を放ち、今季初打点。登録された前日は大敗。「自分が雰囲気を変えたと思ったが、きょう勝てたのでホッとしています」

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