静岡県がこのほどまとめた静岡空港(牧之原市)の利用状況によると、2023年度の搭乗者数は前の年度比46%増の51万2811人だった。23年2月に再開した国際線がチャーター便などを含めて便数や行き先を増やしている中、活況なインバウンド(訪日外国人)需要が寄与した。ただ新型コロナウイルス禍前と比べると全体で7割ほどの水準にとどまり、さらなる国際線再開が利用拡大のカギを握る。
23年5月に新型コロナの感染症法上の分類が「5類」になったため、23年度は需要回復の追い風を受けた。国内線の搭乗者数は16%増の40万5816人だった。全日本空輸が北海道・新千歳線と沖縄線の観光路線で、夏休みや年末年始といった繁忙期以外も一部運航したことで搭乗者数が上積みされた。
フジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)は出雲線や熊本線を一時運休しており、両路線の搭乗者数は減少した。ただ福岡線や新千歳線など他路線は増えたほか、全体の搭乗率も高まった。
国際線は10万6995人と、22年度の2485人と比べて大幅な増加になった。けん引したのはチェジュ航空のソウル線で、9万人ほどが利用した。搭乗者のうち6~7割が訪日客で、搭乗率は85%になった。
23年9月に再開した上海線は当初低調な滑り出しとなったものの、大型連休「春節」や桜シーズンには搭乗率が90%を超えるなど上昇傾向にあり、6472人になった。ベトナムや台湾方面へは訪日客向けのチャーター便も運航して搭乗率は90%、搭乗者数は9577人だった。
18年度と比べると国内線は5%減とほぼコロナ前に戻した一方、台湾方面や中国の上海以外の定期路線が再開しておらず国際線は63%減にとどまる。静岡空港は東京都の羽田空港や愛知県の中部国際空港に近いため、元々国内の地方空港や東アジア方面の国際線が多い点が特徴だった。
静岡空港を拠点にするFDAは需要や繁閑に応じて路線の就航を柔軟に見直す方針を示しており、出雲線も24年の夏ダイヤから再開した。国際線の回復について県空港振興課の担当者は「(静岡から海外旅行に行く)アウトバウンドを含めた双方向の利用を促したい」と話して、チャーター便の高い搭乗率を元に再開を促す考えを示した。
もっとも、09年の開港からみると搭乗率は2番目に高く、搭乗者数は直近だと14年度の55万人に近い水準だ。今年は開港15周年に関連したイベントを複数用意しているほか、将来的には東南アジア方面への路線就航も目指す。
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