米オープンAIが提供する対話型人工知能(AI)サービス「チャットGPT」の音声機能を巡って、映画「her/世界でひとつの彼女」でAI役として声の出演をした女優スカーレット・ヨハンソンさんが「自分の声に酷似している」と訴えている。オープンAIは19日に「別の俳優の声だ」と説明したが、声の使用を停止しており、無断で盗用したとの疑念が深まっている。
米公共ラジオNPRによると、ヨハンソンさん側は「2023年9月にオープンAIの最高経営責任者(CEO)サム・アルトマン氏からAIシステムの『声』になってほしい」と依頼を受けたと主張している。ヨハンソンさんは「個人的な理由」で断ったが、最近になってアルトマン氏が再考を要請。しかし、要請から2日後、まだ両者が協議しないうちに新たな音声サービスが発表され、5種類あるAIの声の一つがヨハンソンさんと酷似していたという。
オープンAIは23年9月に音声サービスの導入を発表し、当時から声の一つがヨハンソンさんに似ているという指摘があった。今回はアップデート版の発表と重なり、注目度が増したこともあり、「盗用」疑惑に火が付いた形だ。
ヨハンソンさんは20日のNPRへの声明で「ショックを受け、怒った。私の一番の親友でさえ、(自分とAIの声の)違いが聞き分けられないほどだった」と説明。弁護士を雇ってオープンAIに声を開発した経緯を開示するよう求めたところ、オープンAI側は声の利用停止に「渋々」応じたという。
一方、オープンAIは19日に声の使用を停止した際、「23年5月にキャスティング業者などの協力で、400人以上の俳優・声優のオーディションを実施した。14人に絞り込み、最終審査で五つの声が選ばれた」と説明。ヨハンソンさんとの類似が指摘された声は「ヨハンソンさんの模倣ではなく、別のプロの女優の声だ」と訴えていた。【ワシントン秋山信一】
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