中期経営計画について説明する神鋼商事の森地高文社長(22日、東京都中央区)

神戸製鋼所系列の鉄鋼商社、神鋼商事は22日、3カ年の新中期経営計画を発表した。最終年度となる2027年3月期の経常利益については24年3月期比で13%増となる145億円を目指す。インドや東南アジアなどで事業を拡大する。今後3年間の投資額は230億円と、24年3月期までの前中計(117億円)に比べ約2倍を計画する。

24年3月期の経常利益は前の期比で1%増の128億円となり、過去最高だった。自動車向けなどの鋼材価格が上昇し、国内自動車市場での需要回復と円安も追い風となった。非鉄金属の卸売会社、稲垣商店(大阪市)を買収したことも寄与した。

今後はインドの建設機械向け部品やベトナムでの半導体向けアルミ製品加工事業などの新規事業を伸ばし、27年3月期に経常利益で145億円を目指す。貿易仲介事業も強化する。

前中計では事業環境の変化を受けて一部の投資案件を中止し、当初200億円とした投資計画が未達だった。今後3年間では、主に自動車や半導体向けの加工事業などに投資する。森地高文社長は22日の記者会見で「特殊鋼を手がける企業の買収を検討している」と述べた。

海外では東南アジアとインド地域での投資額は54億円と、前中計に比べて約4倍に増やす。ベトナムのアルミ加工で設備を増強するほか、エネルギー事業にも投じる。

新たな経営管理の指標として投下資本利益率(ROIC)を導入し、27年3月期で6.5%を見込む。鉄鋼商社では伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン、阪和興業などが大手で神鋼商事は追いかける立場にあり、さらなる成長をめざす。

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