スタートアップ経営者や投資家が集うイベント「B Dash Camp(ビーダッシュキャンプ)」が22〜24日に札幌市で開催された。ビジネスモデルを競うピッチコンテストも開かれ、犯罪防止システム開発のSingular Perturbations(シンギュラー・パータベーションズ、東京・千代田)が優勝した。
シンギュラーのシステムは、過去の事件発生場所や周辺の建物構造などから独自のアルゴリズムで犯罪の発生確率を導き出す。こうしたデータを基に監視カメラの設置計画や巡回頻度の見直しなどの警備計画を警察と立案する。梶田真実最高経営責任者(CEO)は自身がイタリアでスリ被害にあったことをきっかけに事業の着想を得た。
これまでにブラジルやホンジュラスなど中南米を中心に11の政府機関と連携した実績がある。屋外で発生する犯罪のみが分析対象だが、梶田CEOは「転移学習の技術で少数のデータでも高精度の予想が可能だ。導入後に7割の犯罪を抑制できたと示すデータもあり、少しでも世界の悲しい経験を減らしたい」と強調した。
準優勝は配信アプリ「BUMP(バンプ)」を手がけるemole(エモル、東京・目黒)だった。1話あたり3分程度のショートドラマの配信に特化している。最初の数話は無料で、広告を視聴するなどすれば次作を見られる。お気に入りのシーンをSNS(交流サイト)で発信できる機能が若者に人気で、ダウンロード件数は100万を超える。
ピッチ大会は約100社から書類選考や予選などを通過した6社が登壇した。各社5分間のプレゼンで成長性や競合優位性を紹介し、6人の審査員が8分間の質疑応答などを通じて評価した。
審査員で主催者のB Dash Venturesの渡辺洋行社長は「次の業界テーマを探る中で人工知能(AI)活用やグローバルを視野に入れる企業が多かった」と講評した。マネックスグループの清明祐子CEOは「どの企業もスケールが大きく、壮大な課題に挑戦している。夢に向かっていく姿が素晴らしい」とエールを送った。
ビーダッシュキャンプは年に2回開催され、次回は11月上旬に福岡県内で開く。
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