熊本県内でバスや電車を運行する交通5社は27日、「Suica(スイカ)」や「ICOCA(イコカ)」「はやかけん」など全国交通系ICカード(全10種)による運賃決済を年内にも取りやめると発表した。機器更新費がかさむことが主な理由。全国交通系ICカードの決済システムをいったん導入しながら離脱するのは全国初という。代わりのキャッシュレス決済手段を用意するが、利便性の低下も予想される。
早ければ年内に
5社はいずれも熊本市に本社を置く、九州産交バス▽産交バス▽熊本電気鉄道▽熊本バス▽熊本都市バス。
5社は2016年に全国交通系ICカードの決済システムを導入。保守契約が25年3月末で切れ、更新には計約900台あるバスに搭載される機器を入れ替える必要があるなど、5社全体で計12億1000万円が必要と見込まれていた。
各社は高コストの全国交通系ICカードの決済システム廃止を決定。代わりに近年普及が進み、安価な読み取り用の機器で対応できるクレジットカードのタッチ決済やスマートフォンによるQRコード決済を導入する。経費は6億7000万円に抑えられるという。
早ければ年内に全国交通系ICカードの利用を停止し、25年4月から新方式に移行する。5社の路線バスで、全国交通系ICカードによる支払いは全体の24%を占めるが、5社の共同経営推進室は「当初は一部で不便をかけるかもしれないが、周知に努めていきたい」と理解を求めた。【中村敦茂】
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