かんぽ生命保険やあおぞら銀行との資本業務提携を5月に相次いで発表した大和証券グループ本社。4月に新社長に就任した荻野明彦氏(58)は「手を抜けば会社の質はすぐに下がる。自前主義にならず、必要なことをちゅうちょなくやっていく」と今後も他社との提携に前向きな姿勢を見せる。
企業買収などのノウハウがあるあおぞら銀と提携することで、自社が得意とする富裕層向けの資産運用や不動産ビジネスとの相乗効果を狙う。かんぽ生命の運用の一部を自社で担うことで収益増が見込めるほか、人材交流を通じて高度な資産運用を手がける社員を育成する。
証券ビジネス以外の分野にも力を入れる「ハイブリッド戦略」を掲げた前社長の中田誠司会長(63)のもとで、経営企画や人事を担当した。その一つが農園経営だ。子会社が静岡県などでパプリカの栽培を手掛け、将来的には農業関連の投資商品の開発も目指す。「農業従事者は恐ろしい勢いで減少している。リスクマネーをしっかり供給できる仕組みを作り、業界の持続的な発展につなげたい」と語る。
2030年度の経常利益目標は、富裕層を中心とした資産運用などに力を入れることで23年度と比べ約2倍の3500億円超とした。1月にスタートした新たな少額投資非課税制度(NISA)の追い風も感じているが、「金融リテラシーの普及が課題。業界ぐるみで金融教育を推し進める必要がある」と述べた。【成澤隼人】
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