関西国際空港の発着枠拡大に向けた航空機の飛行ルートの見直しについて、国や大阪府、大阪市、泉州地域の13市町、関西エアポートの代表者らで構成する協議会が27日、関空内のホテルで開かれた。府は航空機騒音への懸念に対応するため環境監視の会議の設置や1便ごとの飛行情報の公開を提案し、13市町は飛行ルートの見直しに協力すると表明した。2025年大阪・関西万博を見据えた関空の発着枠拡大は一歩前進した。
関空の年間発着枠を現行の23万回から30万回に拡大するため、飛行ルートの見直しを2023年6月から議論してきた。陸域上空での飛行高度引き下げや2本の滑走路の運用変更などの内容で、岬町や貝塚市を中心に騒音の増大が懸念され、泉州地域の13市町が必要な対策を求めていた。
国は24年3月、運用上の工夫で飛行高度が高くなるように努め、午後11時~午前6時半の深夜早朝は海上ルートを飛行する対応を示した。府は環境監視体制を強化するため、関西エアや国などと共同で連絡調整会議を設置し、関空を離着陸する航空機1機ごとに実際の飛行ルートや高度、騒音情報をホームページで公開するとした。また、空港を生かして観光振興などで泉州地域の活性化を図る検討会議の設置を提案した。
協議会で、岬町の田代堯町長は「飛行ルートに隣接する町は発着回数が増えれば騒音が懸念される。環境監視体制の強化、予測を超える騒音が想定される場合の対応をお願いしたい」と要望し、協力する意向を示した。13市町を代表し、阪南市の水野謙二市長は「対策を講じても騒音が大きい地域では特段の配慮が必要。関空の発展は泉州の大きな発展の機会になり、(飛行ルート見直しに)協力していく」と述べた。
議長を務めた吉村洋文知事は終了後、「泉州地域の市長や町長と合意できた。関空の容量拡大は大阪・関西全体の経済成長につながる」と説明した。今夏に関空と伊丹、神戸の3空港のあり方を官民で議論する関西3空港懇談会の開催が予定され、吉村知事は飛行ルート見直しに同意を表明する意向を示した。
飛行ルート見直しでは、兵庫県淡路島上空に5本の経路を新設する案が盛り込まれた。影響が大きいとして、淡路島市長会は住民の騒音への不安や航空機事故、機体からの落下物などへの対応を求める意見書を24年1月にまとめている。【中村宰和】
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