札幌証券取引所は29日、小池善明理事長(78)が退任し、後任に北洋銀行元頭取の石井純二氏(73)が就く人事を決めた。理事長の交代は13年ぶり。札証は2023年度の売買代金が1040億円と前年度の6.8倍に急増した。1千億円台は5年ぶりで、名古屋証券取引所を上回った。この勢いを駆って脱炭素社会へのGX投資を呼び込み、取引を活発化できるか、金融界出身の石井氏の手腕が問われそうだ。

 石井氏は1975年、旧北海道拓殖銀行に入行。2012年から18年まで北洋銀行の頭取を務めた。就任会見では「北海道経済はラピダス進出による半導体関連産業の集積とGX金融・資産運用特区という二つの追い風が吹いている。札証としても上場企業の増加や取扱商品の多様化の大きなチャンスだ」と抱負を語った。11年から理事長を務めた小池氏はJR北海道OB。道外企業の上場廃止が目立つなか、地元企業の上場を強化し、22年には上場企業数が13年以来の60社台にのった。

売買代金の93%は「ライザップ」

 札証は売買代金の93%を個人投資家に人気のフィットネス事務経営、RIZAP(ライザップ)グループ(東京)が占める。偏った市場の現状について、石井氏は「ライザップのような上場企業を新たに掘り起こし、サポートしていくことが必要だ」と語った。(日浦統)

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