中国電力(広島市)とJR西日本(大阪市)の高度な技術・技能保有者たちが、それぞれの技能の継承活動を活性化させようと、JRの下関総合車両所(山口県下関市)で意見交換会を開いた。両社から8人ずつ参加し、若い社員たちに「使命感」「誇り」「志」をどう伝えるか、熱い議論を交わした。【山本泰久】
中国電からの申し出で実現した。同社は2015年からマツダ(広島県)や海上自衛隊など、高度な技術力を持つ社外技術者との意見交換会を開催しており、JR西とは16年以来2回目の機会となった。
冒頭、JR西の三島淳平・下関総合車両所長が「電力と鉄道という違いはあるが、マインドのところで共感できるものがあると思う。ディスカッションがこれからの技術力向上の一助になれば」とあいさつ。車両所内を参加者全員で見学し、3グループに分かれて意見交換が始まった。
各グループでは「今の若手は考え方が違う。出社は一番、残業もするという考え方はパワハラと取られかねない」「モチベーションの低い子をどのように伸ばすか」「承認欲求が大きい若手が増えた」と次々に悩みを吐露。互いにうなずき合っていた。
同時に「福知山線のような列車事故を二度と起こさないよう、定期的に教育をしないといけない」「原発が安全に使用できることを証明していくため、若手も肌で現場を感じることが大事と考えている。しっかりフォローしないと」と改めて技術継承に向けた思いを確認し合った。
意見交換に参加した、中国電力柳井発電所の電気保修課担当副長の原田嗣(あきら)さん(48)は「JRさんも我々も安全に重きを置いているので共通している部分が多く、人を育てるという点で同じ課題を持っていると実感した」。JR西の下関総合車両所計画科係長、山本幸治さん(41)は「インフラを担う者同士の思いを共有できた。まだ中堅の身分だが、若い社員にいろいろと教えていきたい」と思いを新たにしていた。
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