公正取引委員会が米グーグルについて、LINEヤフーの取引を一部制限した独占禁止法違反の疑いで調査をしていたことが、関係者への取材で判明した。グーグルは再発防止に向けた改善計画をすでに提出しており、公取委は近く、計画に実効性があると認定する方針。公取委と事業者の合意によって解決を図る独禁法の確約手続きに基づき、グーグルに初の行政処分が出る見通しとなった。
関係者によると、グーグルとヤフーは2010年、検索・広告分野で事業提携し、ヤフーはグーグルの技術を使って「検索連動型広告」の配信サービスを展開。これを巡りグーグルは、第三者のモバイル端末向けポータルサイトへの広告配信サービスを取りやめるようヤフーに要求したとされる。技術提供を受けて弱い立場にあったヤフーは、要求を受け入れざるを得なかったとみられる。
検索連動型広告は、検索サイトでユーザーが書き込んだ検索ワードに連動し、関連する広告を表示する仕組み。グーグルとヤフーは自社サイトに加え、第三者のポータルサイトへの広告配信事業でも収益を上げており、公取委によると、検索連動型広告の国内シェア(19年度)はグーグルが7~8割を占め、残りがほぼヤフーという寡占市場となっている。
公取委は、グーグルのヤフーに対する要求が市場の公正な競争をゆがめ、独禁法が禁じる不公正な取引方法や私的独占に該当する可能性があるとみて、22年に調査を開始。同法の確約手続きに基づき、違反行為の概要をグーグルに通知した。グーグルはすでに要求を撤回しており、今月、自主的に再発防止を図る改善計画を公取委に提出。公取委が計画の実効性を認定すれば確約手続きが成立し、調査は終了する。グーグルは同法の排除措置命令や課徴金納付命令を免除される。
公取委は近年、「GAFA」と呼ばれる米プラットフォーム企業への取り締まりを強化していく姿勢を示している。昨年10月には、グーグルがスマートフォンの基本ソフト(OS)で自社のアプリを優遇させるよう働きかけ競争をゆがめた可能性があるとして、独禁法違反の疑いで調査を始めたことを公表した。【渡辺暢】
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