経営再建中のJR北海道を巡り、北海道議会の地方路線問題調査特別委員会は6日、JR北の綿貫泰之社長ら幹部を参考人として招致した。予定していた2030年度末札幌延伸開業が困難になっている北海道新幹線に関し、一部区間を先行して開業する「部分開業」について今井政人副社長は困難であるとの見方を示した。
今井副社長は「整備を進める国や建設主体の考えを踏まえ判断する」としつつ、延伸工事が進む区間のうち位置の異なる複数のトンネルで工事が難航していることを踏まえ「先行して完成させて営業運転するのは難しいのではと考えている」と話した。また、折り返し設備や車両基地などの整備が必要となることを説明し、全線開業の遅れや事業費の増加につながることへの懸念にも触れた。
人件費や資材費の高騰を受け計画見直しを進める札幌駅前の再開発事業については「規模縮小や効率的なレイアウトなど様々な案を検討している」と述べた。28年度を予定していた開業時期を最大2年遅らせることを検討しているが「新幹線延伸によらず30年度末までに開業させる」と言及した。
同社が単独で維持困難とする「黄線区」については「北海道新幹線の延伸遅れと持続可能な仕組み構築を関連させる考えはない」と語った。国土交通省は24年3月、JR北に対し経営改善に向けた監督命令を発出し、黄線区の抜本的な改善策を26年度までにとりまとめるよう求めている。綿貫社長は「この3年間が最後の機会だと認識し地域とスクラムを組んで取り組む」とした。
貨物列車を運行するJR貨物が鉄道会社に支払う線路使用料について綿貫社長は「実態に合わないものになっていると認識している」と述べた。レールの摩耗など貨物列車が運行しなければ発生しなかった費用のみを支払うが、対象とならないコストが多い点を指摘。「今後関係者と見直しについて協議していきたい」と語った。
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