王子ホールディングスの本社(東京都中央区)

王子ホールディングス(HD)は16日、環境配慮型の食品包装資材を手掛けるフィンランドのワルキの買収を11日付で完了し、完全子会社化したと発表した。環境規制が進む欧州での紙の加工技術や製造ノウハウを取り入れ、王子HDの事業拠点である東南アジアなどで環境負荷の少ない包装製品の展開につなげる。

買収金額は非公表としているが、資産額を6億4000万ユーロ(約1000億円)として算定した。王子HDは2023年10月に米投資ファンドのワン・エクイティ・パートナーズからワルキの全株式を取得すると発表していた。欧州の独占禁止法当局の審査を経て、11日に買収を完了した。

ワルキは製造拠点を8カ国で17工場もち、食品・日用品向けの包装や、産業製品向けの段ボールなどを手掛けている。特殊な薄いコーティングによって紙に耐水性などを持たせる加工技術に強みがある。紙ベースのためリサイクル性も高い。買収後も社名やブランドは維持する。

プラスチック包装の規制が波及すると見込まれている東南アジアやインド、オセアニア地域の事業でワルキの加工技術を取り入れる。環境配慮型の包装の技術開発や製造、提案力につなげて市場での存在感を高めるねらいだ。王子グループから新たに役員も派遣する。

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