西武池袋本店は高級ブランドや化粧品、食品に特化した店舗として25年1月から順次開業する(改装後の正面玄関イメージ)

そごう・西武は10日、ヨドバシホールディングス(HD)に土地と建物を売却した西武池袋本店(東京・豊島)について、2025年1月から段階的にリニューアルオープンすると発表した。家電量販店の出店で百貨店面積は半分になる。百貨店部分は高級ブランドや化粧品、食品に特化した店舗として全面改装し、収益貢献の高いテナントで集客力を維持する。

改装案では、約4万8000平方メートルの売り場面積に約380店が入る。全面開業は25年夏を予定する。高級ブランドは1階や2階、4階に約60店を集め、売り場面積は従来より約1.3倍に広がる。従来フロアが分かれていたメンズとレディースを複合店として展開する。宝飾品や時計売り場も継続する。

化粧品は3階で約60ブランドを展開し、売り場面積は約1.7倍となる。デパ地下の総菜や菓子も新ブランドを含んで約180店を予定する。外商サービスも続ける。

一方、国内ブランドの衣料品や家具などの販売は縮小する。ハンカチや靴といった自社の売り場も減らした。西武池袋の改装コンセプトはそごう横浜店(横浜市)やそごう広島店(広島市)など他店でも取り入れる方針だ。

家電量販店「ヨドバシカメラ」は25年夏以降、JR池袋駅に近い本館で開業する。西武池袋ではすでに改装工事が始まっている。5月末までに約200のテナントが営業を終了。5月に約45年営業してきたスポーツ専門店「西武スポーツ」が閉店したほか、1月には高級スーパー「ザ・ガーデン自由が丘池袋店」も約30年の歴史に幕を下ろした。

ヨドバシカメラの店舗戦略も見えてきた。西武池袋の免税カウンターがあった1階を改装し、美容家電や化粧品の新業態ブランド「ヨドブルーム」を6月21日に出店する。百貨店風の店舗作りでイメージ転換を図るという。

そごう・西武は足元で好調な高級路線に転換する一方、他の百貨店も高級品の売り場を強化しており競争は激しい。立地面でもJR池袋駅の乗降客が多いヨドバシ側に顧客が流れ、西武池袋の集客への影響も懸念される。限られた売り場で顧客をいかにつなぎ留められるかが課題となる。

そごう・西武は23年9月、セブン&アイ・ホールディングス(HD)が米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却した。雇用維持を巡り、そごう・西武労働組合が西武池袋で百貨店業界で約60年ぶりとなるストライキも実施した。売却後はフォートレス日本法人の幹部がそごう・西武の経営陣に就き、改装案の策定やテナントとの交渉を進めてきた。

【関連記事】

  • ・ヨドバシ「美容」で薄める量販色 西武池袋改装の挑戦
  • ・ヨドバシ、西武池袋内に美容専門店 百貨店らしさ演出
  • ・次のヨドバシ、百貨店と共存 社長が語る「西武池袋」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。