中小企業を対象とするM&A(合併・買収)の仲介を手がけるインテグループ(東京・千代田)が18日、東証グロースに上場する。藤井一郎社長に事業の強みや今後の成長戦略などを聞いた。
――事業概要と強みを教えてください。
「M&Aが成立しないと報酬を一切もらわない『完全成功報酬制』を採用しており、顧客は金銭的リスクが少ない。競合他社は最初の着手金や、基本合意した際の中間金などを徴収しており、買い手がそうした手数料を支払わない案件は検討しないケースもある。我々はそうした買い手を排除することなく、売り手は一番良い相手とマッチングできる可能性が高まる」
――上場の狙いは何ですか。
「信用力の向上が一番の理由だ。M&A仲介市場は上場企業が7社いるので、顧客はまず上場企業に依頼するケースが多い。売却を検討する中小企業の経営者にとって上場による信用力は大きい。上場を通じてより多くの顧客からの依頼を獲得し、成長を加速させたい」
「以前はネット広告経由で案件を取る『待ち』の営業スタイルだったが、自ら積極的に営業していくスタイルに切り替えた。2019年ごろから新規株式公開(IPO)を目指すようになり、良い人材も集まるようになった」
――M&A仲介は人材採用がカギになりますが、どう対応していますか。
「当社は業界の中でもコンサルタントに対するインセンティブ率が高い。案件の獲得や担当したことに対して一定のインセンティブを支払っており、累積成約件数に応じて少しずつ上がるような制度もある」
「現在は34人のコンサルタントを抱える。ここ1年は300人弱の応募があったが、採用率は約4%と厳選している。成果を出した社員にはできるだけ還元するようにしている。平均年収は23年5月期で約1600万円と業界で2番目の水準で、24年5月期はさらに上昇しそうだ」
――上場後の成長戦略はどうなりますか。
「調達した資金は広告費と人材採用費に充てる。コンサルタントの人数を毎年25%以上増やすほか、1人当たりの年間成約件数は現在の1.8組から2.5組に増やしたい。1件あたりの平均成約単価も24年5月期は約4200万円だが、緩やかに上げていきたい」
――株主還元方針を教えてください。
「当面は自己資本を充実させるが、数年後に投資対象がなければ配当を積極的に考えたい」
(聞き手は亀井慶一)
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