国税庁による定額減税説明会の会場に入る企業の担当者ら=東京都千代田区で2024年4月23日、和田大典撮影

 今月始まった1人あたり4万円の税負担を減らす定額減税は、公的年金受給者も対象だ。14日に支給される4、5月分の年金から所得税の減税が始まる。ただ、年金支給日に減税を実感する受給者は限定的のようだ。一方、定額減税開始に当たって気を付けたほうがいいこともある。

 定額減税は所得税3万円と、住んでいる自治体に納める住民税1万円の計4万円が減額される。届け出は必要なく、納税者本人のほか配偶者などの扶養家族も対象だ。

 公的年金の支払いは2カ月に1回の偶数月だ。所得税は6月の支給で減税しきれなければ、8月分以降に繰り越される。住民税は10月分の年金から減税し、控除しきれない場合は12月、来年2月に繰り越される。いずれも減税しきれない場合は今夏以降、自治体から差額分が給付される予定だ。

 ただ、年金受給者でも所得税や住民税を納めていない人は定額減税の対象外だ。この場合は、既に非課税世帯向けの1世帯当たり10万円を給付済みだ。厚生労働省によると、約4000万人いる年金受給者の多くが現金給付の対象で、定額減税の対象者は約500万人という。定額減税の効果を実感する機会は少ないとみられるものの、物価や賃金の上昇に伴い、年金支給額は6月支給分から前年度比2・7%増となる。

 また、合計所得1805万円超の高所得者、非課税の遺族年金や障害者年金などの受給者も対象外となる。扶養親族に増減があった場合は、確定申告で差額を精算する必要がある。

 注意しなければならないのは、定額減税の開始に伴って増えている不審な電話やメールだ。「定額減税で還付が受けられる」などと語り、口座情報の提供などを求める詐欺事案も発生している。国税庁は「電話やメールで銀行の口座情報やATM(現金自動受払機)の操作をお願いすることは一切ない」としている。【杉山雄飛】

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