林陽一社長は「半導体市場の成長以上の利益成長を図る」と述べた(20日、東京都港区)

JX金属の林陽一社長は20日、事業説明会で「半導体金属材料の総合メーカーを目指す」と述べた。世界シェア6割を持つ金属薄膜材料に加えて、新たに生産する半導体向けの金属化合物材料を成長の柱とする。銅精錬や鉱山運営など既存事業から、電機向け金属材料事業への転換を改めて強調した。

JX金属は半導体ウエハー上に回路の薄膜を形成する金属材料「スパッタリングターゲット」を手掛けている。林氏は「現在はターゲットメーカーのイメージだが総合メーカーに進展していきたい」と述べた。2024年度後半から微細な薄膜形成に対応した化学的気相成長法(CVD)向けの金属化合物材料を量産するなどして製品の幅を広げる。

新たな金属化合物材料は子会社の神奈川県の工場と茨城県の自社工場の2カ所で生産する予定だ。林氏は「想定よりも早いスピードで顧客から要望があった」と話した。4〜5年で市場は拡大するといい、林氏は「低コストな量産体制を準備できるかがカギ。将来的に(営業利益で)100億円の事業にしたい」と述べた。

JX金属は半導体やスマートフォン向け材料を「フォーカス事業」とし、既存の銅精錬などを「ベース事業」としている。足元では両事業の営業利益水準に大差はないものの、40年には連結営業利益2500億円をフォーカス事業がけん引すると想定している。茨城県や米国に新工場を建設しており、増産につなげる。

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