記者会見する寺崎正勝理事長㊧(20日、東京都千代田区)

浮体式洋上風力の技術確立を目指す企業で構成する「浮体式洋上風力技術研究組合」の寺崎正勝理事長は20日に都内で開いた記者会見で、浮体式風車の基盤技術について「2030年度からの実用化を念頭に研究開発を進める」と述べた。浮体式の量産技術はまだ世界で確立されていないが、欧米などでも開発が進む。寺崎理事長は「研究開発に多くの時間をかけずに取り組んでいきたい」と語った。

同組合は三菱商事系や関西電力など発電事業者14社が3月に設立した。現在は北海道電力や中国電力、ENEOS系、INPEXが加わり参画企業は18社となっている。

各社が資金を持ち合い、浮体式風車の基盤などを低コストで量産できる技術の開発を目指す。幅広いタイプの浮体式に対応できる基盤を開発し、海外展開も視野に入れる。寺崎理事長は「日本は浮体の構造物や海底と構造部をつなぐチェーンの製造に強みがある」とし、建設や造船事業者、認証機関などとも連携して開発を急ぐ考えを示した。

浮体式では風車を海に浮かべて発電する。海底に風車を固定する着床式よりも深い海域に対応できるため、技術が確立されれば洋上風力の拡大につながると見られている。11日に結果が発表された浮体式で初となる政府の大規模実証の入札では、丸紅系と中部電力系をそれぞれ幹事会社とする2つの企業連合が落札した。

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