記者会見するトヨタ自動車九州の長木哲朗社長(25日、福岡県宮若市)

トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)の長木哲朗社長は25日、就任後初となる記者会見を本社で開いた。同社で生産し、電気自動車(EV)化を今後進める高級ブランド「レクサス」について、輸出先のエネルギー事情に応じて生産する自動車の動力源をガソリンや電気など柔軟に変更できるような生産体制を目指す考えを表明した。

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長木社長は4日に就任。この日の記者会見では、産官学で連携して環境負荷の少ない循環型のものづくり環境を実現することも強調した。

トヨタ自動車はレクサスについて、2035年に世界で販売する全車両をEVにする計画を掲げている。トヨタ九州は同社のレクサスの一大製造拠点となっており、影響は大きい。

長木社長は、これまでEVの設定がなかった車種に新たにEVが設定された場合にも迅速に対応できる体制を整えていくことを説明。ただ、具体的な投資計画や車種などについては明言を避けた。

レクサスを製造するトヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)

レクサスのEV化に伴うバッテリーの製造については、「統括しているのはトヨタ自動車本体」と強調したうえで「九州で車載電池をつくるという想定の下、最大限の支援をしていきたい」と述べるにとどめた。

原材料をなるべく廃棄せずに再利用して資源を循環させる「サーキュラーエコノミー(循環経済)」にも触れ、車載電池の再利用などについても検討を進めていく考えを示した。トヨタ九州は北九州市と脱炭素社会の実現に向けた連携協定も締結しており、人事交流も進めている。

長木社長は1986年に九州工業大学工学部を卒業後、トヨタ自動車に入社。自動車の動力源であるエンジンやハイブリッドユニットなどのパワートレーン畑を歩んだ。2019年にはトヨタ九州に出向し、苅田や小倉両工場の工場長なども歴任した。

トヨタ九州の24年3月期の売上高は前の期比35%増の1兆5054億円で過去最高だった。主な輸出先である中国ではセダンタイプの「ES」が好調で、半導体や部品の供給不足が緩和したこともあり、生産台数は前の期比25%増の41万9730台で過去4番目に多かった。

同社の生産能力は年間40万台超。生産する自動車の9割近くをアジアや北米、欧州などの海外約80カ国・地域に輸出している。

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