三菱重工業は27日、東京都内で定時株主総会を開いた。同社の株価は主力のガスタービンや原子力、防衛などの好調を背景に上昇し株式分割を考慮したベースで実質的な上場来高値を更新している。株主からは現在の株高を好感する声やさらなる成長を求める声が相次ぎ、泉沢清次社長は「改めて気を引き締めて事業に取り組み、期待に応えられるようにしたい」と述べた。
総会は午前10時から始まり会場には361人の株主が出席した。所要時間は1時間18分で計13問の質問が出された。剰余金の配当や泉沢社長ら取締役の選任などの議案はいずれも可決された。
株主からは開発を中止した「三菱スペースジェット(MSJ)」に関連して、今後の旅客機開発に対する考え方について質問が出た。高口宙之執行役員は、スペースジェット開発で得られた知見を航空機事業に生かしていくとしつつ、国が2035年以降を見据え官民で国産旅客機開発する戦略を掲げていることに対しては「今は事業基盤を整える段階にあり、完成機事業の再開を判断するタイミングではない」と述べた。
今後の成長の柱として期待される二酸化炭素(CO2)の回収・利用・貯留(CCUS)などのCO2回収の事業性に関する質問もあった。加口仁取締役副社長が「国内では実証をやっている。海外でも特にアメリカで非常にたくさんの引き合いをいただいている。この3年間で数件実現していきたい」と回答した。
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