27日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=160円台半ばで取引された。前日のニューヨーク市場で一時160円80銭台を付け、38年ぶりの円安水準となった。市場では、政府・日銀による為替介入に警戒感が再び高まっている。
鈴木俊一財務相は27日午前、市場で進む円安・ドル高について「経済に対する影響は強く懸念をしている」と指摘し、「高い緊張感を持ってこの動きの背景も分析し、必要に応じて必要な対応を取る」と述べた。財務省内で記者団に語った。
投機筋をけん制する鈴木氏の発言もあり、27日の東京市場では4~5月以来となる為替介入の可能性が意識され、円が買い戻される動きもあった。午後5時時点は前日比65銭円安・ドル高の1ドル=160円54~56銭だった。
市場では、米国の底堅い景気動向を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始が遅れ、「金利高止まりが長期化する」との観測が強まりつつある。一方、日銀が日米の金利差縮小につながるような「早期の利上げに踏み切るのは難しい」との見方から、金利の高いドルが買われ、低金利の円が売られやすい状況が続いている。
政府・日銀が為替介入を実施したとみられる4月29日、円相場は1ドル=160円台前半で取引されていた。この水準を超える円安となったため、市場では「心理的節目を突破した」(国内証券)として、さらなる円安の進行を予想する声も出ている。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは「(7月5日発表の)米雇用統計が市場予想を上回る強い結果になれば、さらに円安が加速する展開になりそうだ」と指摘している。【成澤隼人、山下貴史】
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