28日付で日本損害保険協会の会長に就任した東京海上日動火災保険の城田宏明社長が毎日新聞の取材に応じた。2023年度に相次いで発覚した業界の不祥事を受け、取引先との関係強化を目的に持つ「政策保有株」のあり方などに関し、顧客企業との適正な関係を促す協会のガイドラインを作成する方針を明らかにした。
大手4損保を巡っては、中古車販売大手・ビッグモーター(BM、現ウィーカーズ)の自動車保険の不正請求問題や企業向け保険の価格調整(カルテル)問題が発覚。取引関係を維持したい損保側と企業側で株を持ち合ったり、保険とは関係のない企業の本業を支援したりする商慣習が、損保間の適正な競争をゆがめる要因になったと指摘された。
ガイドラインでは、本業支援や政策保有株の持ち合い、代理店への出向に関する業界共通の基準を設ける。大手各社は政策保有株の削減目標を定めているが、保有目的を開示する必要のない「純投資」として処理して実際には持ち続けるケースも懸念される。こうした「抜け道」を防ぐ内容も盛りこみたい考えだ。保険を販売する代理店を損保会社が適切に指導できるよう、代理店の業務品質を評価するための客観性のある基準を示すことも検討しているという。
城田氏は「お客様本位の業務運営と法令順守を徹底していく。共通のガイドラインや基準を踏まえて会員各社が取り組むことを期待している」と述べた。【井口彩】
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