北里柴三郎が肖像となった新1000円札を手にするひ孫の北里英郎さん(右)とくまモン=熊本県小国町で2024年7月3日午後0時1分、野呂賢治撮影

 3日から新紙幣の流通が始まり、新1000円札の「顔」で近代医学の基礎を築いた北里柴三郎の古里、熊本県小国町にある「北里柴三郎記念館」では、記念式典が開かれた。金融機関にもさっそく両替を希望する利用客が訪れ、終始お祝いムードに包まれた。

 式典に合わせた両替イベントで柴三郎が肖像となった1000円札5枚を手にした小国町の自営業、穴井栄次さん(73)は「仕事前に駆けつけた。町民にとってとても名誉なことでうれしい」と笑顔で話した。

 式典には県のPRキャラクター「くまモン」も駆けつけた。柴三郎のひ孫で館長の北里英郎さん(67)は記念講演で、ペスト菌の発見や旧伝染病予防法の制定など柴三郎の功績を紹介。旧紙幣の肖像だった野口英世や福沢諭吉との縁にも触れ、「一度決めたら絶対にぶれない人で、恩に報いることを大事にしていた。ドイツ語で雷を意味する『ドンネル』と呼ばれ、厳しい一面もあったが、多くの優れた弟子たちを育てた」などと人柄を伝えた。

 福岡市中央区の福岡銀行本店営業部では、午後2時から約1時間、搬入されたばかりの新紙幣で両替や出金を受け付けた。

 福銀によると、普段の同時間帯の来店客は20人程度だが、この日は両替開始までに約100人が待機。最終的に143人が新紙幣を手にした。柴三郎と血縁関係があるという福岡県古賀市の会社員、北里尚美さん(53)は「うれしかったので、記念に新しい1000円札に替えてきました」。

 本店営業部の牛原星菜さん(24)は「20年親しんだ紙幣が変わるので寂しい面もありますが、ついに来たかとわくわくしていました。たくさんの方にご来店いただき、注目度の高さを感じています」と話した。

 3日は本店営業部と北九州と久留米の計3店舗のみだったが、4日は全店で対応可能になるという。【野呂賢治、植田憲尚】

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