顕微授精の作業負担の軽減につながる新型顕微鏡を国内外の医療機関に販売する(4日、東京都中央区)

ニコンは4日、不妊治療に使う顕微鏡を5日に発売すると発表した。顕微鏡を用いて卵子に精子を注入する「顕微授精」向けで、必要な設定をワンタッチでできるボタンを備えた。操作の工程数を約75%減らし、受精作業をする「胚培養士」の負担軽減につなげる。

製品名は「エクリプス ティーアイツーアイ」。顕微授精には精子や卵子の観察、精子の注入など6つのプロセスがある。従来型の顕微鏡では対物レンズや光量などの複雑な設定をその都度する手間があった。新製品ではプロセスごとの設定を1つのボタンに集約し、作業を簡略化できる。

独自の光学技術も生かし、視野の明るさも高めた。顕微授精では卵子の中にある「紡錘体」と呼ばれる構造体の観察が重要になる。見えにくい紡錘体を全方位でカラー表示することで、精子を卵子に注入する際に針を刺す角度を見極めやすくする。

価格は仕様によって異なり、国内で800万〜1000万円程度を想定する。海外を含め生殖医療を手掛ける医療機関に売り込む。

同日都内で説明会を開いた山口達也常務執行役員は「少子化は国内にとどまらず海外でも課題となっており、積極的に販売していく」と話した。2022年4月から顕微授精を含む不妊治療が国内で保険適用になった。不妊治療による出生児数は拡大している。

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