福島県立医科大学と東京電力ホールディングス(HD)は4日、福島第1原子力発電所の廃炉で作業員が被曝(ひばく)した場合の緊急医療に関する連携協定を結んだ。8月にも始まるデブリ(溶け落ちた核燃料)の取り出しなどで高線量被曝のリスクが高まるため。被曝した作業員の搬送や治療を円滑に進めるようにする。
4日の締結式で、県立医大の竹之下誠一理事長は「廃炉作業に従事される方を健康面から支え、廃炉作業全体の安全な推進に寄与する」と述べた。
東電HDの小早川智明社長は「今後20年から30年にわたる廃炉作業を進めていくうえで高度専門的な治療が可能な病院に搬送できる体制が重要だ」と語った。
協定では作業に伴う被曝リスクの情報を共有するほか、被曝した場合には速やかに作業員の搬送や治療を行う体制を整える。
福島第1原発では、廃炉の本丸とされる燃料デブリの取り出しが8月にも始まる。炉心溶融(メルトダウン)で溶け落ちた燃料デブリを事故後初めて取り出すため、従事する作業員の高線量被曝が懸念されている。
2023年10月には汚染水処理設備に従事していた作業員2人が放射性物質を含む廃液を浴び、県立医大に搬入される事例が起きた。
県立医大では原発の再稼働が計画される東電柏崎刈羽原発や東北電力女川原発など他の原発で事故などが起きた場合の原子力災害医療のモデルになるとしている。
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