日立造船は5日、子会社2社が手掛ける大型船舶用エンジンの燃費データを改ざんしていたと発表した。顧客が立ち会ってエンジンを試験運転する際に記録する燃料消費率を実際とは違う数値に書き換えていた。改ざんしたエンジン数は現時点で1364台に上る。これを受けて国土交通省は子会社の工場に立ち入り調査する方針を明らかにした。
日立造船はIHIによる船舶エンジンの運転データ改ざんを受けた国交省の注意喚起で4月から社内調査を実施し、問題が発覚したとしている。日立造船は同日、プレスリリースの公開のみで記者会見は開かなかった。「コンプライアンス(法令順守)意識の不足などが根底にあったものと考えている」とコメントした。
日立造船は現在、大型タンカーや貨物船向けのエンジンを子会社の日立造船マリンエンジン(熊本県長洲町)とアイメックス(広島県尾道市)で製造している。1999年以降の船舶エンジン1366台を調査した結果、ほぼ全数に当たる1364台で燃料消費率のデータの不正な書き換えが確認された。
燃料消費率が改ざんされることで、窒素酸化物(NOx)放出量の算出にも影響が出る。NOx放出量については海洋汚染防止法と国際海事機関が定める基準があり、それを逸脱する可能性もあるという。
国交省は同日、日立造船による報告を受けてNOx規制の順守が確認されるまで規制基準を満たした製品であることを示す証書を交付しないと発表した。海洋汚染防止法は船舶の所有者に証書の交付を受けたエンジンを搭載するよう定めているため、エンジンを事実上出荷できなくなる。
8日には日立造船マリンエンジンの熊本県の工場に立ち入り調査を実施する方針を示した。同時に日立造船側に事実関係の調査と再発防止策の策定を指示し、8月末までに報告するよう求めた。日立造船は弁護士など外部有識者による特別調査委員会を設置して原因究明を進めるとしている。
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