ピッチイベントでは自動倉庫システムを手掛けるレナトスロボティクスが優勝した(5日、京都市)

国内最大級のスタートアップイベント「IVS(アイブイエス)」で5日、ピッチコンテスト「ローンチパッド」が開かれた。決勝に選出された15社が参加し、自動倉庫システムを手掛けるRENATUS ROBOTICS(レナトスロボティクス、米カリフォルニア州)が優勝した。物流業界で人手不足の緩和に貢献する点や米国での事業展開を目指している点が評価された。

レナトスロボティクスは東大発ベンチャーで、倉庫の自動化システムやロボットなどの機器も自社で開発している。ピッキングや集約、梱包といった作業を1人の作業員が一括で完結できることが特徴で、人件費などのコストを削減できる。2024年中に米国での事業展開を目指す。

ピッチに参加した安藤奨馬最高執行責任者(COO)は「物流のバリューチェーンは広いので倉庫間の配送やラストワンマイルにも取り組んでいきたい」と話した。

審査員を務めたABEJAの岡田陽介最高経営責任者(CEO)はレナトスロボティクスの取り組みについて「現在、非常に旬な市場だ」と述べた。優勝者には京都府から1000万円の賞金が授与される。京都府の西脇隆俊知事は「人口減少や少子高齢化に伴う人手不足を圧倒的な力で解決するシステムだ」と評価した。

2位には衛星データ解析を手掛けるSolafune(ソラフネ)が選ばれた。決勝ではディープテックやコンテンツ、フィンテックなどに関連する15社が登壇した。各社は6分間のピッチで自社の事業概要や強みについて説明した。

15社のうち、半分以上が人工知能(AI)を事業に活用している。医療や文章校正、法務、漁業など幅広い分野での活用が目立つ。海外での事業展開を目指す企業が多く、審査員たちは「海外の市場を展望しているのは頼もしい」と述べた。

ピッチコンテストには300社以上の応募があった。2割を海外企業を占め、決勝にも台湾や香港のスタートアップが参加した。IVSは京都市で4〜6日まで開かれ、3日間で前年比5割増の1万5000人の参加を見込む。学生や女性の参加を促し、会場内には女性の起業に関するテーマなどを扱う専用の場所も設けた。

(小山美海)

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