NEC社員は本社の入退場や売店や食堂での決済、オフィスの複合機やロッカーの利用を全て顔認証で利用できる(10日、東京都港区)

NECは10日、国内の社員2万人を対象に物理的なカードが不要な「デジタル社員証」を導入したと発表した。デジタル社員証には社員の顔画像がひも付いており、社員は本社の入退場や売店や食堂での決済、オフィスの複合機やロッカーの利用を全て顔認証で利用できる。

デジタル社員証は米マイクロソフトが手掛ける、特定のサービス事業者に依存しない「分散型ID」技術とNECの生体認証を組み合わせた。デジタル社員証と生体認証を組み合わせて導入した事例は珍しいとしている。

社員はカードタイプの社員証を持ち歩く必要がなくなり、紛失防止にもつながる。月内をめどに勤怠管理システムとも連携し、本社への入館、退館と同時に「勤務開始」「終了」も記録できるようにする。

現時点でデジタル社員証の導入はNEC単体にとどまるが、今後は連結子会社含めたグループ社員11万人にも広げることを検討している。デジタル社員証のIDは社外のIDとの連携も進める予定で、まずは紙の障害者手帳をアプリにした「ミライロID」と連携を始める。

行政機関や鉄道、病院などでのID連携も視野に入れる。マイナンバーカードなどと連携できれば、公的手続きの効率化にもつながる可能性がある。同日の説明会で、小玉浩コーポレートIT・デジタル部門長は他企業・団体のIDと連携させ「つながることの価値の連鎖をしていきたい」と述べた。

NECは社内で実績がつめれば、将来的にはデジタルIDサービスとして外販できるとみる。既に「デジタル学生証など色々な方面から引き合いがきている」(担当者)としている。

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