黄線区に関してJR北海道と沿線自治体で意見交換した(19日、札幌市)

JR北海道の綿貫泰之社長は19日、同社が単独で維持困難とする赤字線区「黄線区」についての自治体との意見交換会で「(黄線区での実証や改善策は)これからの2年が勝負だ」と語った。国土交通省は3月、JR北海道に経営改善に向けた監督命令を出し、黄線区の抜本的な改善策を26年度までに確実にとりまとめるよう求めている。

北海道庁で開いた意見交換会には、北海道の鈴木直道知事や黄線区沿線の11自治体の首長らがオンラインを含めて参加した。首長からは線区ごとの特徴を踏まえた利用促進策やコスト削減策を求める声が上がった。

観光需要が多い線区からは「観光のポテンシャルは大きい。積極的な利用促進を進めたい」(富良野市の北猛俊市長)との声が出た。通学といった日常利用や貨物輸送の利用が多い路線について、北見市の辻直孝市長は「全国の貨物ネットワークを形成するうえで絶対に欠くことのできない重要路線だ」と存続を訴えた。

また線区単体での収支だけではなく、広域での役割や効果を踏まえて判断するよう求める意見も相次いだ。佐々木修一・遠軽町長は「収支だけでみるとなくなってしまう。食料安保など国家的な視点で考える必要がある」と指摘した。

JR北海道の綿貫社長は「鉄道を維持したいとの考えは変わらない」との姿勢を改めて示した上で「これが最後の機会だ。時間軸を意識しながら一体となって取り組んでいきたい」と述べた。鈴木知事は「この会をキックオフとして、より連携を深めたい」と応えた。

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