記者会見する石油連盟の木藤会長(18日、東京都千代田区)

石油連盟の木藤俊一会長(出光興産社長)は18日の定例記者会見で、国内の航空燃料不足への対応を説明した。石油元売り業界として「韓国などからの輸入のほか、製油所の運転調整による増産を進める」と対策を示した。北海道では経済産業省や国土交通省経由で要請のあった数量について「供給のメドが立った」と明らかにした。

木藤氏は「国内生産を基本としながら必要に応じて輸入し、航空燃料の安定供給確保に努める」と強調した。輸入元としては韓国のほか、シンガポールや中国が候補になるという。

製油所の運転調整によって増産することも明らかにした。製油所では中東から仕入れた原油を高温にし、沸点の違いを利用して航空燃料やガソリン、軽油などに分類している。航空燃料は灯油と成分が似ており、それぞれ原油から8%程度取れる。

原油の種類変更や温度調整などで航空燃料の生産を増やす。燃料をためておく製油所タンクの増強も検討する。

木藤氏は航空燃料の不足が「社会問題化しつつあることに、じくじたる思いがある」とも語った。増産に備えるため、航空会社には「なるべく前広に(増便や新規就航の)情報を出してほしい」と訴えた。

経済産業省によると、2023年の国内の航空燃料の生産量は前年比12%増の1169万キロリットルだった。新型コロナウイルスの感染拡大で激減したあと、回復途上にある。そこにインバウンド需要の急増が重なった。

木藤氏は「今回の問題は輸送・給油体制などサプライチェーン(供給網)全体にさまざまな要因がある」と指摘した。製油所の閉鎖・能力削減で空港までの輸送距離が延びていたところに、内航船の人手不足や運送業の残業規制が追い打ちをかけた。

【関連記事】

  • ・航空燃料、官民で確保へ行動計画案 輸送や輸入を強化
  • ・キャセイパシフィック幹部、燃料不足「差し迫った懸案」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。