既刊本の出荷部数は平常時の3分の1に落ち込んだ

KADOKAWAは29日、出版事業について書籍の出荷部数が8月中旬以降に平常時の水準に回復する見通しだと発表した。6月上旬に受けたサイバー攻撃の影響により既刊本の出荷は平常時の3分の1程度に落ち込んでいる。グループの動画配信サービス「ニコニコ動画」も8月5日に再開する。事業活動の正常化のメドがついてきた。

6月8日のサイバー攻撃で停止した書籍の製造・物流システムが復旧し、8月から既刊本の出荷部数を段階的に増やす。9月には書店向けの受発注システムも再稼働する。出荷が滞り、店頭での品薄となっている書籍の販売・出荷を増強する。

出版・IP(知的財産)創出事業は2024年3月期の売上高が1419億円で、全体の半分以上を稼ぐ主力事業だ。新刊は主に社外で製造・物流を手掛けており、サイバー攻撃後も通常通り出荷を続けている。

今回のサイバー攻撃を巡っては「BlackSuit」を名乗るハッカー集団が6月下旬にダークウェブ(闇サイト群)に犯行声明を出しており、KADOKAWAは取引先や社内の情報の一部や、通信制高校「N高等学校」「S高等学校」などの在校生と卒業生、保護者の個人情報の一部が流出した可能性が高いとしている。

社外の大手セキュリティー会社の支援を受けながら漏洩された情報の規模などについて確認作業を進めており、現時点で確認が完了していない。

同社は業績の影響については現在精査中とし、「開示すべき事項が発生した場合には速やかに公表する」とした。

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