全国コープ福祉事業連帯機構は記者会見で訪問介護事業者の現状を説明した(29日、東京都渋谷区)

日本生活協同組合連合会が2022年に設立した全国コープ福祉事業連帯機構(東京・渋谷)は29日、加盟団体における訪問介護の事業損益が24年4〜5月に955万円の赤字(前年同期は3119万円の黒字)になったとの調査結果を発表した。24年度から訪問介護事業の基本報酬が引き下げられたことで収益環境が急激に悪化した。

同機構は加盟する14法人、127の訪問介護事業所を対象に24年度の介護報酬改定の影響について緊急アンケートを実施し、足元の収入や損益などを集計した。

加盟団体における24年4〜5月の訪問介護の事業収入は前年同期比1%減の12億9431万円だった。基本報酬が約2%下がったことで働き手の確保が難しくなり、ヘルパーの人数は1年前に比べ7%減少した。人手不足でサービスの提供回数も減り、収入減につながった。

介護事業施設ではヘルパーらの高齢化も課題となっている。アンケートの自由記述では「5年後の事業を見通すことが困難」との声が寄せられた。同機構は生活援助から身体介護にサービス内容を変更することにより、報酬単価を上げるなどして収支改善を進めるとしている。

東京商工リサーチによると24年1〜6月の介護事業者の倒産件数は前年同期比1.5倍の81件だった。データをさかのぼれる2000年以降で最多になった。特に訪問介護を中心に倒産が増えている。

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